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詩「敗者」

20240510

コントラストがキツ過ぎて
パツパツになるスボンの裾が破れそう
白と黒をはっきりさせたがるせいで
貧乏くじを引いてしまいそう

歪んだ顔と体で道を歩けば
落とし穴に落とされて目的を見失う
着慣れないスーツのせいで
挫いてしまいそうな足を庇う

コップの中に沈み込む
溢れそうな水に気をつけながら
上からコインが落とされる
溢れれば逃げ出すことが出来ずに飲み干される

噛み砕かれて 息をする暇もなく
胃の中に落ちた気がしたけれど
フローリングに頬を付けていた
起き上がろうとしても起き上がれなかった

バラバラになった体を拾い集めて
組み立てることが出来ずに考える
目玉が向いた方に誰かが来て
口元で猫がのんびりとする

誰かは大き過ぎるカバンに体を詰め込んで
何処かへと持ち去ってしまう
残った顔は猫がこっそりと舐めて
腹が減ったら少しずつ牙を立ててくる

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