見出し画像

詩「虚無にて」

20240508

何もないところから始めよう
重要なことを捉えて
真空パックをしたら送り出す
腹が膨れるまで繰り返す

ここには善も悪もない
優劣もなく それはつまらない
美しくもなく汚くもない
虚しくて だだっ広い空間

彼はその空間で木のように生える
初めは小さな芽から始まる
水やりを怠らなければ育ってゆく
大木となりこの空間を埋め尽くす

それを切り終えたらまた何もなくなる
全ては繰り返し 全てが消えてゆく
ただそれだけのこと 彼の数を数えて
時は過ぎて やがて死ぬだろう

彼は人間ではない 存在出来ない
ただ現れては消える 幻のように
それで良い ただ彼を忘れないように
その姿を映す瞳だけがあれば良い

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?