詩「リスタート」

20240509

また俺を殺しちゃった
天国へ行けるって信じて
何回でも殺してしまう
輪廻転生だから生まれ変わる

また初めからスタートになった
ステータスの引き継ぎはないまま
赤ん坊の俺は彷徨って
狼なんかに喰われそうだ

セーブもロードも繰り返した
何事も経験って言うけど
セーブしたら忘れるし
ロードしたら繰り返し

それでもゲームオーバーにはならず
死んでもまたどうせ生き返るしかないなら
次こそはまともに前を向こう
そう言って俺は教会を出た

すぐに目の前に広がったのは
草原　森　そして温かい日差し
鳥の囀り　優しく微笑む誰か
わかったよ　もう殺さないようにしよう

殺し続けて来たからこそ
俺が何の価値もないってわかった
ならばそれで良いと思えるまで
それか自分の値段がわかるまで

剣を携えて　鎧を身に纏う
おそらくひどく滑稽に見えるだろう
ならば俺も笑い飛ばして
旅を続けよう　ゴールを設けずに