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詩「フア・タカマー・リスカン」

20240522

気が狂いそうになって目覚めた
頭の中がぐちゃぐちゃになった
一つ一つ片付けていると
見覚えのないものを見つけた

誰だ?何だ?何処だ?何時だ?
見覚えのない男と一緒に謎の物体を持ち
パレットをぶちまけたような色の島で
俺と似た男が微笑んでいる写真

よく見ると 謎の物体は生き物だった
魚を釣り上げた時の写真に似ている
背景の島を見ていると目がチカチカする
海岸なのだろうが 考えつく色が全て目に入る

それよりもこの男たち 肌が青い
俺と似ている方まで真っ青だ
周りの色を人間の形に切り取ったように
くっきりと 間違いなく青い

謎の生物の死骸はシルバーで光を反射している
全体的に犬のようで目玉は飛び出ている
耳はない 尻尾が長い 口は大きく牙が多い
頭の中にあった図鑑には載っていない

これは記憶から作られた写真ではない
見覚えがないということは忘れ物の可能性はあるが
こんなにも突拍子もない物を忘れるだろうか?
俺は不思議に思いながらも 一旦頭の中から出た

良い夜だ カーテンの向こうから涼しい風が来る
起き上がり ベッドに座ると膝にカーテンが当たる
「こんな夜にはフア・タカマー・リスカンだな」
聞き覚えのない声が頭の中に響いた

俺はまた瞳を閉じて頭の中に入った
そこには写真に写っていた青い男がいた
「お前は誰だ?」俺の声は少し震えていた
「何言ってんだ?兄貴 俺を忘れたのか?」

それからというもの
俺はそいつと話すようになった
頭の中に入れば彼はいた
名前を聞いたが長すぎて忘れた

彼は地球にやってきた時のことを話してくれた
写真に映る故郷の星は爆発したらしい
俺は何故 彼が地球にいないか質問したが
寂しそうに笑っているだけだった

二週間ほど経った時だろうか
彼は姿を見せなくなった
彼の話を信じることも疑うこともせず
俺はただ 煙草を吸って時間を潰した

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