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「鳥井弘文の旅と読書とweb3」テキスト版

Voicyにて毎日配信している「鳥井弘文の旅と読書とweb3」のテキスト版になります。 https://voicy.jp/channel/3274 ほぼ毎日更新予定。 同様…
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2023年5月の記事一覧

世界が大きく変化しているタイミングに、従来的な幸せを追い求めない。

Wasei Salon内で開催される読書会に合わせて、松村圭一郎さんが書かれた『くらしのアナキズム』という本を最近読み終えました。

ここで語られていたことで、とってもハッとさせられる内容が書かれてありまして。

それが何かと言えば、「アマゾンに暮らす先住民のリーダーたちは、仕事の負担そのものが報酬となっている」というお話です。

今日のテーマと関わってくるので、さっそくまずは以下で本書から少し引

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「この世界で生き抜くために手を組みませんか」という物語が増えてきた。

先日、Twitterにこんな投稿をしてみました。

このツイートが結構多くの方の目にとまったようで、色々な方から意見が寄せられました。

この点、もし、自分が満たされるために他者を求め続ければ、側室や執事が何人いても、その欲望は決して満たされません。

でも、過酷な戦場を共に生き抜くための戦友であれば、どんな存在だって心強い。そして戦場を共にした「記憶の共有」が、目の前の他者をこの世界でたった一人

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生成系AIの登場により「マイノリティ」は空間だけでなく時空を超える。

インターネットの登場によって、マイノリティの概念が大きく変わったということは、よく語られている話です。

各共同体(世間)の中では、圧倒的にマイノリティであっても、その各共同体に存在しているマイノリティ同士がインターネット上でつながることによって、その声が増幅される、と、

そして、それが社会問題にもなり、マイノリティの権利が擁護されるような状態が生まれてきました。それが過去十数年のインターネット

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祭りとサーカスの違い。現代における「パンとサーカス」とは?

先日、シラスで配信されていた「トクヴィルから問う民主主義とアメリカ」という有料配信番組を観ていました。

その中で、すごくおもしろいなあと思った話がありまして。それが何かといえば「アメリカにおけるトランプの地方演説というのは、政治の演説ではなく、サーカスだった。だから地方で、退屈な毎日を生きている低所得者の白人たちはトランプを支持していたのだ」というような趣旨のお話です。

なんだかこれがとっても

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ChatGPT全盛の時代に求められるのは「旦那芸」的な知識。

ChatGPTを、て実際に使い始めると、これは自分の「質問力」がものすごく試されるサービスなのだなあと多くのひとが直感的に理解できるようになるかと思います。

だからいま巷では「プロンプトが重要だ!」と語られていて、プロンプトの売り買いされるマーケットも存在しているようです。

でも、実際に長く触ってみると、それは表面的な話であって、本質ではないなと思ってしまいます。

それよりも、もっと自分の中

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ChatGPTと哲学の相性がいいからこそ生まれた意外な使い方。

ChatGPTのような生成系AIと呼ばれるジャンルが、これまでの最先端のテクノロジーと明確に異なる点がひとつあるなあと思っています。

それが一体何かと言えば、歴史上の古い話ほど真っ当な返事が返ってくるということです。それは参照しているデータが、古い情報ほど膨大でもあるからなのでしょうね。

この点に関連して、先日配信されていた伊藤穰一さんと茂木健一郎さんの対談動画の中で、「AIと哲学は相性がいい

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お祭りを残すこと、その本質とは何か。

最近、地域の「お祭り」についてよく考えています。

きっかけは、コロナ以降に、数年ぶりに復活したお祭りが日本各地でいま増えてきたから。

そして、そんなローカルのお祭りに対してまで「その客席の価格が安すぎる」と文句をつけているひとたちがいて、正直ちょっと怖いなあと思ったからです。

商業エンタメの世界で、VIP席や富裕層に媚びるのは何一つ間違っていないとしても、それをローカルのお祭りにまで持ち込も

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事実の解釈は人それぞれで「共通了解」を無理に見出そうとすることが逆に分断を深める。

僕はこれまで地方に移住した若い人たちを多く取材し、彼ら彼女らと交流してきました。

その経験があるからこそ、地方の見知らぬ移住者が書いた告発系のTwitterやnoteは絶対に拡散しないようにしています。

なぜなら、良くも悪くも僻地に移住する若いひとは、変わったひとが多いなあと自らの実体験を通して感じているから、です。

一つの事実に対して、世の中の大半のひとびとが、Aと見るかBと見るかの二択だ

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過度に共感されるよりも、心地よい「摩擦」を与えてくれる場所。

自分自身がオンラインコミュニティを長年運営してきている中で、これは実際にやってみないと絶対にわからなかったことだろうなあと思うことが、ひとつあります。

それは何かといえば、ひとは決して安易な共感や、過度な共感を求めているわけではなく、心地よい思考の疲労感や、モヤモヤを与えてくれる場所のほうを求めているのだとういことです。

少なくとも、僕が心の底からこのひとたちに出会えてよかったなあと思えるよう

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AIやNFTとシャーマニズムの関係性について。

最近AIの分野において、日本が世界に先駆けて扱っているというニュースは、本当によく目にしますよね。

もうこれ以上、世界の中で最先端のテクノロジーの分野で遅れを取ることは許されないからという「国策」なのだと一般的には言われています。

でも一方でこれって「宗教性の違い」もかなり大きいんだろうなあと思います。(もちろん、そんな非科学的なことは絶対に報道はなされないとは思いますが)

昨日もお話したよ

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ジャニーズ問題と自己分析。日本人の「カミ」概念について。

今日は完全に私的な話で、自己分析となります。

僕自身の10〜20代のころの内面に起きていた変化をここで深掘りすることになるので、本当は書くことが、ものすごく躊躇われる内容でもある。

そして、たぶん現代のポリティカル・コレクトネスとは完全に相反するような内容となります。

でも、いま自分の中でこれを整理しておかないと、何かとっても大切なものを見落とすような気がしてならない。

ということで、何か

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「限られた資源を収奪し合う」という構造それ自体にメスをいれること。

先日、Wasei Salonの中で毎月定例で開催している「学びのきほんシリーズ」の読書会が開催されました。

今回は上野千鶴子さんが書かれた『フェミニズムがひらいた道』という本でした。

そこで、個人的にかなりハッとさせられた文章が書かれてあったんですよね。

それは「なぜ今、若い世代の中でフェミニズム運動がまた盛り上がっているのか」という問いに対いする上野千鶴子さんの答えです。

本書で以下のよ

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共感はいらない。共鳴を担保に、異なる意見を晒し合う対話の空間が求められている。

ブログを長年書き続けていると、そのやりがいのようなものを聞かれることはものすごく多いです。

このときに、多くのひとは「共感」を得られることがそのご褒美のように捉えているのですが、僕は常々「共感」なんか、されなくていいと思っています。

逆に、他者からの安易な共感ほど、退屈なものはない。

それは、100%善意で相手から自分に向けられている矢印であるはずにもかかわらず、ときになぜだかものすごく不快

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自分の守りたい家族や仲間という「世間」のために「社会」から収奪しない。

短期的な視点にたって、目の前のお金を稼ぐことを奨励する際に、頻繁に用いられる言葉があります。

それは何かといえば「守りたい家族や仲間のために、お金や資源を獲得することから目を背けてはいけない」といった言葉です。

この言葉はものすごく便利な言葉だなあと思っています。

なぜなら、一見すると非常に「利他的な」行為に思えてしまうからです。

でもそれは、自分の「世間」に対して利他的であるだけであって

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