【住まい】伝統民家の創り
日本伝統民家の建築
日本の伝統民家の建築は、大黒柱(中柱、心柱や心御柱ともいう)
という中心の軸に支えられた空間になるように建てられる。
神様を柱という言葉で表す日本文化の中でも
もっとも身近な「神」が、この大黒柱の存在。
軸(ひもろぎ)によって成立した清らかな空間は
私たちの国に一貫して流れてきた世界観が象られている。
日本伝統民家の構造
日本の伝統民家はまず柱から建てるため
基礎的構造の段階ではすべての部屋が見渡せ
仕切りは存在しない。ワンルームであり、一元世界が基本。
柱の次に鴨居、敷居、その他の梁を作り、最後にふすま
小路、土壁といった実に簡単に取り去ったり
再生のできる仕切りを取り付けて完成させる。
仕切りは決して主体にはならず、実に簡素である。
生活のための和らぐ空間
縄文時代から受け継がれ
家族の心を一つにする力を持つ「炉」は家の中心点。
その火を囲むようにして、家族が生活する。
家は釘を使わない古来の建築様式の古民家で
土間で調理をし、真ん中に囲炉裏があって火を囲んで食事でき
畳の部屋に神棚があって、柱と梁に屋根をのせて
畳と戸はいつでもはがせるような、メンテしやすく風通しのいい家。
土間の役割
日本人にとって土間は、家の中でも最も長い歴史のある場所。
土間は外と同じ地面そのままの場所であり、土間の存在は
人と人、家と家との関係にとって、家というものが
外の世界と断絶しないという重要な役割を果たしている。
人が家に訪ねてくる場合、伝統民家では土間まで入って用を
済ませて帰るのと、座敷まで上がって帰るのとでは、だいぶ違う。
土間のある家は、土間までが実に気兼ねなしに入れるのであるが
畳の座敷に上がるのは、結界の中に入るかのような意識がある。
【まとめ】住まいとの関わり
大黒柱を軸とした一元的な空間構造、火を中心とした家族の生活。
縄文人から受け継ぐ環状集落での生活様式を基盤として
自然と一体化しながらさまざまな氣を循環させる空間の使い方。
移動や掃除、メンテナンスのしやすい構造設計は
ユニバーサルデザイン、サスティナブルデザインの典型である。