【環境】里山の役割
里山の位置付け
里山は原生的な自然とムラとの中間に位置し
集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地
ため池、草原などで構成される地域。
農林業などに伴うさまざま人間の働きかけを通じて
環境が形成・維持されてきた。
自然資源の供給
人々は里山から多くの燃料や資材、食糧を得てきた。
草や薪、肥料にする落ち葉、農具の材料などの他
ドングリも地域や時代により重要な食料となっていた。
これらの資源を利用するために、人々は頻繁に里山に入り
季節により様々な作業を行っていた。
特有の生物の生息・生育環境として
また食料や木材などの自然資源の供給、良好な景観
文化の伝承の観点からも重要な地域である。
里山の現状
かつては里山の林内下層の低木を燃料として
草本を家畜飼料として刈り取り
落葉落枝を有機物肥料として取り出していた。
そのようなインパクトによる環境に適応して生息していた
里山の生物相が崩れて絶滅に瀕している種が多い。
生物多様性の保全のためには、天然林(自然林)を保護
保全するとともに、人との関わりの強かった
半自然の二次林(天然生林)の維持、保全も重要である。
森との共生
降水に含まれる物質や酸性降下物は
森林に達すると森林土壌の物理的
科学的、生物的作用によって濾過され
その多くが土壌に捕捉されて森林植物の養分となる。
その結果として森林からの流出水は浄化され
適度なミネラルを含んだ水となる。
また林冠や林床植生の被覆により
雨滴の土壌への直撃は少なく
土壌粒子による汚染も防がれる。
これが森林による水質保全機能である。
適度なミネラルを含んだ水は豊かな魚介類をも育む。
【まとめ】環境との関わり
日本人の原風景は、稲穂と里山と樹木である。
人々に生きる勇気を与え、心を癒す生命の故郷である。
その中でも里山は自然資源の供給、動物との共生
及び緩衝地帯という視点で密接に生活と関連していた。
そこから育まれた日本人独自の自然観や共振する感受性を
改めて体感、再認識し、世界に調和の文化を伝えていきたい。