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【大地】環状集落の意味
日本人の精神性
「和」という言葉は日本人の伝統的日本人らしさを
まことにしっくりと表している。
日本人の精神性といえば、繊細なやさしさ
窃盗をしない民度の高さなどがあげられる。
また、精神文化を支える神道、仏教、儒教、武士道などがあるが
日本人の日本人としての最も本質的な基盤は
もっとはるかに古い日本の大地に根ざしている。
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中心点を軸に和をもたらす空間
大和言葉の「わ」が意味する一つに「環」がある。
縄文時代に繁栄した地域の集落はまさにこの環が形成されており
日本の縄文以前の遺跡でこのような集落から
人に殺されたとわかる人骨が見当たらないという事実がある。
地鎮祭では心霊を招き下ろすため榊などの
常緑樹を建てた「ひもろぎ」が備えられるが
古代日本の祭りはまず、霊性の主体を象徴する軸を立て
その場所のような神聖な空間があってこそ
物事は健全にすがすがしく栄えるという世界観がある。
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縄文時代の集落構造
縄文時代には祖先の宿る中央を取り巻いて
竪穴式住居が造られている。
この円形集落(環状集落)構造は
集落の入り口からは冬至の日に
日の出の太陽の光がこの中央の場に
まっすぐに注がれるように設計され
太陽の運動を計算に入れたあとが見られる。
集落の中心に命の元である太陽の分霊を宿すことで
一年の御魂を迎え入れ、祖先の御魂にも
命の光が与えられるという観点と思われる。
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縄文人の世界観
円形集落地域の縄文人の世界観には、大宇宙と小宇宙の
関係に似た相似形的な世界認識が強く認められる。
家の中心への畏敬は集落の中心への畏敬に通じ
集落の中心への畏敬は、よりマクロな中心へと通じている。
このあり方が、他を否定しない互いの関係性を成立させている。
木星や土星の衛星群が互いにぶつからないのは
センター(木星や土星)を中心に運行するからであり
木星や土星など、それぞれの惑星も
センター(太陽)を中心に運行することで調和している。
家々も集落も中心に宿る祖先神に皆の心が結ばれて調和する。
円形集落文化の調和は、これと実に似ているようだ。
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【まとめ】大地との関わり
縄文人をDNAに持つ日本人として
縄文文化は何かヒントにならないであろうか?
自然を崇拝し、自然とともに生活してきた縄文人の
狩猟採取の生活は、完全に元に戻すことはできないが
その一部や本質を現代風に受け継ぐことは可能である。
一元論を具現化する、大きなヒントとなりうるはず。
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