配電盤
「分散不意打ち禍話!」
以下勝手に銘打った禍話〈ネンネシナ四部作〉のリライトと推奨される読み進めの順番になります。マガジンにも登録済みですが、分かりにくかったので補足的に投稿します。 ご確認の上読み進めていただきますようよろしくお願いいたします。 ①「待ち受け画面」 ある大学のAくんの話。 ②「ひとりうたい」 ある大学の准教授の話。 ③「感染するノート」 ある大学の学生の話。 ④「ネンネシナ」 ある大学の民俗学研究会の話。 各記事、著作権フリー&オリジナル怪談ツイキャ
これは、サクラさんがあるマンションに住んでいた時の話である。 サクラさんの住む部屋の隣には、仲のいい家族が住んでいた。 父親と母親と、お姉ちゃんと弟。いつでもにこやかで、休日には家族そろって出かけるくらい仲のいい一家だった。サクラさんは一人暮らしだったので、見かけるたびに羨ましいなと思っていたという。 そのマンションでは、定期的に清掃作業などのイベントが催され、住人どうしの繋がりは強かった。誰もが見知り合いといった感じで、サクラさんも隣のその家族とはそれなりに親
【禍話】〈ネンネシナ四部作〉のリライト、誤字脱字や会話表現の細かいところを訂正、修正しました。引き続き怖がっていただけると幸い (?) です。
________________________________________ 禍話をよく聞くある人が初めて怖い夢を見たという。 「見たい見たいと言っていたら見れるものなんですね」 その人は老人ホームの夜勤中に禍話を聞いているらしく、深夜の仮眠の時にその夢を見た。 仮眠をしていた部屋で叫び声を聞いて目が覚める。四方八方からつんざくような高い声。 ああああああああああああ 「うるさい!」と声を荒げるが、自分の声も聞こえないぐらいに ああああああああああ
これはとある大学で起こった話だ。 その大学の民俗学研究会が部員の減少により解散することになった。 部室を開け渡すために掃除しなくてはならないということで、部員の知り合いや友人の友人のような繋がりの人々が集まって部室の掃除を始めた。 掃除は何事もなく円滑に進み、あとは残り2、3人で何とかなるぐらいに落ち着いた。そんなあともう少しのところで掃除作業用の道具が切れてしまった。 「じゃあちょっと買い出し行ってくるね~」 「うん~いってらっしゃい~」 そうやっ
Eさんの友人には一人、馬鹿なヤツがいた。 自分ではマルチな才能があると思っているようだが実際はどれもこれもが中途半端な、そういう友人がいた。 そんな感じではあったが、根は悪い人間ではない。それなりの距離感で友人付き合いを続けていたという。 ある日その友人が嬉々として変なノートを見せてきた。そのノート自体は今でも流通しているような普通のノートだが、かなり経年劣化していて古びている。 大学の民俗学かなにかのサークルが潰れるということでその掃除を手伝ってきた。その
これはとある大学で起こった話だ。 その大学のはずれにある研究棟には、准教授や非常勤講師の研究室が集まっていた。教授の研究室があるのは別棟、本館なため、そこに訪れるのは准教授やゼミ生だけ。一階に警備員の宿直室があるが、いつもいるのかいないのか分からないようなそんな場所だった。 そこであるとき変な張り紙をK君は見つけた。 〈最近 裸足で歩く 女性がいます〉 それが貼ってあったのは研究棟の奥まった場所にある誰も使わないようなトイレの近くだった。 そ
携帯やスマートフォンの待ち受け画面は好きな写真やイラストなど自分の好きなように変更できる。 そんな待ち受け画面は、ある意味でその人のパーソナルな部分が表出するもの。だからこそ易々と覗いたり土足で踏み込んだりするのはあまりいい結果を招かないかもしれない。 これはIさんが大学生の頃の話だ。 夏休みも明けて、Iさんは久しぶりに会ったサークルの友人たちと、食堂で昼食を食べながらワイワイ話していた。 その中の一人、サークルもゼミも同じのA君が、その日はやけにウキウキし
「サカイさんだかなんだかってあれ本当なんですか? "ぼーだー" とか" アイダさん" とか人気ですけど」 精神衛生上、あまり良いとは言えそうにない動画を送りつけ、見せようとしてくる人物がインターネット上にいる。 そもそも人なのか、女性なのか、男性なのか、性別も姿形も分からない。 そして今まで集められてきた話に出てくるその名前が決まって「境界を意味する名前」なのは、たまたまの偶然なのか、それとも作為的な何かがあるのか、私たちには何もわからない。 ただ、そういう話は
禍話のリライトを読んで繋がったんだけど、Fさんはそう話を切り出した。 「アレ、読んだけど良くないよ、名前変えないと」 定例になっている会社の飲み会でFさんは「怖い話とか好きなんですか?」と、ある女の子に聞かれたという。 「幽霊みたいなのはそんなに怖くないけど、ヤバイ人が出てくる感じの方が怖いかも」 「それなら!今度会って下さい!」 二つ返事で了承すると、翌週その子はパソコンを持ってやって来た。 「変な人から動画をもらったんですよ」 へえ、動画…… その子は続けて話
仕事の関係で地方に行った時、一通りの仕事が終わり、小腹も空いたので近くのファミレスに行くことにした。 女一人で夜に遠出も不用心なので、ホテルから歩いて数分のファミレス。 3時にクローズするファミレスなんて中途半端だなと思いながらも、時計を見ると23時だったのでまあ大丈夫かと、特に気にすることもなく入店した。 店内には、いかにもホームレスといったようなオジさんと、仕事をしていなさそうな、外見があまりよろしくない男の二人だけだった。 うーん嫌だな…… なるべくその二人から
人が何かに怯える時、必ずそこには何か、底知れぬ理由がある。 2ch全盛期、匿名掲示板がまだまだたくさんあった数年前。 その頃は小学生でもダークウェブのようなサイトにアクセスすることができて、いわゆるグロテスクな動画や少しエッチな動画も簡単に入手することができた。 そんな時代にアクセスするのが難しいグロテスク動画の専門掲示板があり、禍々しいタイトルの動画が並ぶそのスレッドの中に「人体模型」というタイトルの動画があった。 Mさんの知人のAさんはグロテスクな動画に強い耐性があ
これはIさんから聞いた話だ。 Iさんの友人には何事にも動じない超然的態度のAさんがいたという。 大学でリストカット騒動があった時にも動じずにその場を難なく治め、先輩からも一目置かれている、何かあるとまずは相談するような、Aさんはそんな頼れる友人だった。 ある日、そのAさんが大学の友人のEさんに呼ばれた。 どうもEさんの弟の家庭内暴力がエスカレートしてしまい家族ではどうにもできず、Aさんに助けを求めたという事情らしかった。 理由も分からず急にこうなってしま
禍話に「赤い女」という話がある。 マンションのポストに「あかいおんなにちゅうい」と書かれた怪文書のようなビラを投函する、顔も、生きているのか死んでいるのかも分からない、やたら赤い服を着た女がどうやらあちこちにいるという話だ。 そしてこれはそんな「赤い女」の話のリライトを見つけ、あることに思い至った女性の話である。 彼女には小中高と同じの、男の幼馴染がいた。 同じ大学の同じ学部に入り、彼女も周囲の人々も「この二人はいずれ結婚するのだろう」という漠然とした考えが