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2022年7月の記事一覧
小説 第一回AI Selection (23) エリー・マルキマ・パジャーブ・シン
エリーは、日本に向かう船の中にいた。震災から2週間が経っていた。両親が死んでいることを知って、すぐに日本に行くことに決めた。すぐ飛行機の手配をしたが、日本への飛行機は、政府関係者だけに制限され、民間人は乗ることができなかった。
彼女は、香港経由の船を予約して、翌日、船に乗った。船は多くの日本人が乗っていた。
彼女はその中にいた同年代の女性と仲良くなった、彼女はスズキさんと言った。
海外でピア
小説 第一回AI Selection (22) 馬耳島 封
馬耳島「あれ、あれ、あれはどうなっとる?」
事務次官「この前、買われた熊の置物ですか?ちゃんと飾りましたよ。多少は、北海道愛が感じられるようになったんじゃないでしょうか。」
馬耳島「いやいや、それじゃない。なんかよくわからんロシア人が作ったというあれ、ウイルスか。あれはどうした?」
事務次官「あー。Yomi To アプリがしゃっくりするやつですね。だいぶ、浸透してきているみたいですよ。」
小説 第一回AI Selection (21) Yomi To
匠「あえ? 俺の携帯、クック、クックだ言ってない?」
友達「あれじゃない? ウイールス? Yomi Toの」
匠「何ソレ。お前の見せてみ。」
友達「私のは、大丈夫だよ。はい。」
匠「ほら。お前のもなってるよ。」
友達「あっ、移したでしょ」
匠「ひどくない?僕じゃねえよ。勝手にうつったんじゃん。もしくは、僕の方が移されたか。」
友達「そっちが先でしょ。」
匠「で、どうなの?これ。何か
小説 第一回AI Selection (20) ウイルス
とどのつまり「こちらは、銀河内閣府です。Yomi To App、およびYomi To弾末に、未知のウイルスの侵入が検知されました。現在、影響のある範囲は限定的ですが、今後、蔓延の可能性もありますので、ご注意ください。
現在わかっている感染経路は、物理的な接触時にYomi Toを介して、データのやり取りが発生した場合のみです。こちらは意図的におこなまない場合でも、近距離(2メートル以内)に、相手の
小説 第一回AI Selection (19) とどのつまりお
百々野津まりおは、パソコンのモニターを見ていた。壁一面に、縦三列、横四列の12枚の100インチのモニター壁一面に貼られていた。
映っているのは、チャートだったり、各所の映像だったり。人気のアニメだったり。そして真ん中に擬人化されたYomi Gamiが映っていた。
まりお「あのさー。この人なんだけどさ。大丈夫なの?」
まりおは、左下の画面に映ったアバターを見て言った。
まりお「土木関係の人?
小説 第一回 AI Selection (18)大地絹子
小学校職員 「大地先生、また田中くんがお腹が痛いと言って保健室に行きました。」
大地「ありがとうございます。保健室に寄ってみます。」
田中くんは、去年まで受け持っていた4年生の男の子だ。大地は、今年、2年生の受け持ちである。去年3年生だったこの親御さんに町の有力者がおり、今年2年生になる下のお子さんの担任に大地をつけるように働きかけたおかげで、4年生の担任ではなく、2年生を受け持つことになった
小説 第一回AI Selection (17)第106代内閣総理大臣
第2期岸内閣は、その年の春に始まった。保守勢力が何とか過半数を勝ち取り、首の皮一枚で、留まった岸内閣は、目玉人事として、副総理に女性を起用した。それでも人気は今一つ。
岸総理は、「ここで起死回生の一打を」が、決まり文句で、何かにつけて、それを口にしたが、大逆算するような妙案が、その後、続くことはなかった。
野党は、岸 海晴と言う岸総理の名前を文字って、お前の名前だろうと野次った。マスコミも、ニ
小説 第一回AI Selection (16) 暴動
今回は、銀河と同時に行うんだよね。匠じゅんは、一緒に暴動に参加した彼女に聞いた。
彼女 そうみたい。私は、こっちに参加しているけど、集まらない人は、銀河の内閣府に集まるみたい。どんな感じになるかは、わからないんだけどね。
匠 それにしても、こっちは、なんか昔、テレビで見たのと同じような感じだよな。ヘルメットに、プラカードに、タオルで顔を隠してみたいな。全然スマートじゃない。
彼女 まあ私たち
小説 第一回AI Selection (15) 国土交通大臣 ばじとうふう
馬耳島 国土交通大臣は、栃木にあるゴルフ場で、ゴルフをしていた。
大臣 「おっ、おっ、これはでかいぞ。みんな、しゃがめ、しゃがめ」
秘書官「これは、大臣、た、大変なことになりそうです。」
大臣「揺れが止まったら、すぐに内閣府に電話しろ」
秘書官「わかりました。でも止まるどころがどんどん大きくなりますよ。」
大臣「寝ろ、みんな、芝生の上に寝ろ。わしも寝る」
大臣のグループは、グリーンにう
小説 第一回 AI Selection (14) ヨドカメ
2039年6月国会にて
議長 「国土交通省大臣」
大臣 「いま、ご質問のありました、何ですか、ヨドカメ」
野次「それは、ヨドバシカメラだ」
大臣「もとい、Yomi Gamiの地震アラートですが、みなさんご存知の通り、再三今までも、何度も誤動作を起こして、発生しない地震のアラートを出していることを鑑みても、今回のアラートが真実とは、到底、思えません。仮に真実だとしても、今まで地震については、その危険
小説 第一回AI Selection (13) とどのつまり
震災が起きてひと月後、新しい首相が、銀河とメディアで発表された。
子供 お母さん、どこのチャンネルも同じのやっているよ。
母親 つまらないわね。なんかビデオ見る?
子供 新しい首相だって。前の人、死んじゃったもんね。
母親 今日発表って新聞に出てたわね。女の人みたいね。百々野津まりさん?
子供 出た。あれ?アバターだ。これ、銀河のアバターだよ。
母親 そうなの?本人は出ないのかしら?
小説 第一回AI selection (12)土地問題
主婦A ねえ、聞いた?津波や火事で被害のあった町って、もう一月くらい立ち入り禁止でしょ。噂だと、政府が全て管理するみたいよ。
主婦B どう言うこと?管理するって。
主婦A なんかニュースだと、全部、国の土地にするらしいの。それまで住んでいた人の権利とか全部剥奪して。
主婦B それはひどくない?暴挙よ。思い出の品とか残っている人たちもいるだろうし、まだ行方不明の方もたくさんいるじゃない。
主
小説 第一回AI Selection (11) 災害対策本部
お台場にあった災害対策本部は、想定外の津波により、壊滅的な被害が出た。一連の地震の中で発生した首都直下型地震は、想定していた波の動きとは違ったものとなり、東京湾を登ってきた津波をさらに増大させる結果となった。
他方から押し寄せた50メートル級の津波は、お台場を洗い流し、皇居にまで及んだ。
そして、各所から上がった火が夜空を焦がし、幹線道路は車と人で詰め尽くされた。
さいたま新都心に設置された
小説 第一回AI Selection (10) 武田朋美
気がついた時は、旅行カバンに捕まって漂っていました。
周りには、いろんなものが浮いていました。人の背中も浮いていました。月の綺麗な夜でした。
遠くでヘリの音が聞こえました。波は静かでした。押し寄せてきた津波も、引き始めているようでした。
私が、救助されたのは、それから約1時間後でした。体は冷えていて、足も手も力が入りませんでした。この前、死ぬのかなと今までの生きてきた人生のことを思い返していま