小説 第一回AI Selection (23) エリー・マルキマ・パジャーブ・シン
エリーは、日本に向かう船の中にいた。震災から2週間が経っていた。両親が死んでいることを知って、すぐに日本に行くことに決めた。すぐ飛行機の手配をしたが、日本への飛行機は、政府関係者だけに制限され、民間人は乗ることができなかった。
彼女は、香港経由の船を予約して、翌日、船に乗った。船は多くの日本人が乗っていた。
彼女はその中にいた同年代の女性と仲良くなった、彼女はスズキさんと言った。
海外でピアノの勉強をしていた彼女は.私の同じく両親と弟を探すために日本に帰国中だった。
スズキ「私、去年の春、今の学校に入ったんです。それまでは、神戸に住んでいました。両親と弟は名古屋にいました。両親にあったのは、2年前のお正月です。それから時々電話やメールはしていたものの実家には戻っていませんでした。銀河は、弟が使っていました。弟とは、たまにそこで会っていました。震災後は、その弟にも会えていません。ニュースで、名古屋を見ました。私の実家の方は、津波はなかったものの火災が発生し、多くの方が犠牲になったとのことです。何とか両親が逃げ延びていればと思うものの、日に日にダメなんじゃないかという気持ちが強くなってきています。」
エリーは、スズキさんが、ボソボソとそこまで話すのを、頷きながら聞いていた。そして、みんな同じような人がこの船に乗って日本に向かっているんだと思った。