小説 第一回AI Selection (13) とどのつまり
震災が起きてひと月後、新しい首相が、銀河とメディアで発表された。
子供 お母さん、どこのチャンネルも同じのやっているよ。
母親 つまらないわね。なんかビデオ見る?
子供 新しい首相だって。前の人、死んじゃったもんね。
母親 今日発表って新聞に出てたわね。女の人みたいね。百々野津まりさん?
子供 出た。あれ?アバターだ。これ、銀河のアバターだよ。
母親 そうなの?本人は出ないのかしら?
子供 そうみたい。
百々野津まり はじめまして。百々野津まりです。若輩者ですが、よろしくお願いします。私は、学者です。そして、Yomi Gamiの関係者です。魔族の震災があって、一月、日本という国は無くなりました。多くの人が震災で家を失い、肉親や親戚、友人、同僚を失いました。
国の中枢にいた人々も多くが震災の被害に遭いました。そこで、日本は、震災前に準備、構築していたAIによる行政管理を速やかに押し進め、人にやらないIT社会を構築すべく、ここにIT国家 シン・ニッポンとして再スタートします。
私も含めて、閣僚、各地区の代表は、Yomi Gamiにより、最適な方を選別します。選ばれた方には拒否権はありません。最低一年は、その仕事を全うしていただき、一年後に、国民による投票で、今後、先も続けていただくかを決めます。なお、病気や死去など、業務執行が行えなくなった場合のみ、Yomi Gamiが新しい方を再信任します。
ご覧のように、私は、アバターとして、銀河内で、活動します。セキュリティを考え、他の閣僚や地区代表もアバターとして、皆様の前には現れます。ただしダイバシティを考慮して、性別年齢人種宗教出自などに偏りがないようYomi Gamiが専攻します。
各閣僚や地区のリーダーは、ひと月後の発表となります。それまでの行政は、私とYomi Gamiとで、判断実行します。
ご意見、ご要望は、銀河内閣府、及び旧役所でも受け付けております。またご自身のYomi Toでも受け付けておりますので、何か気になることがありましたら、すぐにお知らせください。
震災により避難所にて、大変な日々を送られている方、親戚縁者のところに身を寄せられている方、震災による経済の混乱で生活が困難になられた方、全ての方に適切なサポートが行き渡るよう手を尽くして参りますので、何か困ったことがありましたら、すぐにご連絡下さい。