小説 第一回AI Selection (17)第106代内閣総理大臣
第2期岸内閣は、その年の春に始まった。保守勢力が何とか過半数を勝ち取り、首の皮一枚で、留まった岸内閣は、目玉人事として、副総理に女性を起用した。それでも人気は今一つ。
岸総理は、「ここで起死回生の一打を」が、決まり文句で、何かにつけて、それを口にしたが、大逆算するような妙案が、その後、続くことはなかった。
野党は、岸 海晴と言う岸総理の名前を文字って、お前の名前だろうと野次った。マスコミも、ニュースのたびに、毎年、Bクラスの球団に例え、岸内閣の極貧打線と批判した。景気も低成長で、海外の経済状況から遅れを取り、国内外の市場から取り残されつつある状況も、極貧にかかっていた。
副総理となった大地絹子も教育者で、少子化対策や教育改革に対しての人事であったが、経済については、門外漢であるため、それもマスコミや野党から叩かれる材料とされた。
等の岸海晴と言えば、高校野球の名門を出ていることもあっね、何でも高校野球に喩えてしまう、ちょっとズレた性格ではあったが、前向きで、明るい性格が、若者や婦人には一定の人気があった。
震災翌日、対策本部にて
副総理 「まだ、岸総理には連絡がつかないのでしょうか?」
大地副総理は、執務室で周りを取り囲む事務次官たちを不安な目で見た。
筆頭事務次官「震災が起きた時、甲子園球場に向かう新幹線の中だったようです。東海地方を襲った津波に新幹線とも流され、連絡が取れなくなっております。」
副総理「それは、すでに聞いています。銀河の方ではどうですか?銀河内閣府の方に連絡はないの?」
事務次官「そちらも当たっていますが、この震災の混乱で、人が溢れており、故人と多く混ざっているため、まだ確認が取れておりません。」
副総理「銀河内外問わず、訪れそうなところは、すべで当たってください。」
スタッフが走り込んでくる。匿名の方から、総理を見かけたとの連絡が入ってきました。銀河内です。至急、確認に向かっている。
副総理「場所を教えて、私も探します」
銀河甲子園球児のエリアに向かった副総理は、メガホンを片手に、腕を振り上げて、何かを叫んでいる総理を見つける。
総理「今こそ、起死回生の一撃でございます。」
総理を拡大していくと、頭の上に、輪がきらめいていた、副総理の目に涙が流れた。