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【問題】前屈痛と後屈痛。反り腰で生じるのはどっち?

こんなアンケートをとりました。

反り腰で起こるのは、

前屈痛?
後屈痛?

答えはどちらでしょうか?


今回はそんな話をしていきます。





答え

「どちらでしょうか?」と尋ねておいて
申し訳ないのですが、

一切の議論の余地なく
「両方起きる可能性がある」
が解答になります。

経験則にしたがって
どちらかを即答してしまったあなたは
いったん臨床態度を見直すべきです。




成長が止まったベテラン

花田が社内で勉強会を行った時のことです。

症状を説明するときに使用する
共通のトークスクリプトを
指導していた時

たまたま僕が例示した
「反り腰で前屈痛があるときは...」
という言葉に反応したベテランがいました。

この時ものすごく
「反り腰」と「前屈痛」を結びつけた例に
否定的な意見をいただきました。

ベテランの主張としては

「僕の経験の中では
 反り腰は後屈痛が出る」

というものでしたが、

しかしどう考えても
「どちらも起こりうるだろう」というのが
答えとして適切だと花田は思うわけです。



具体例なんていくらでもあがる

あげるほどでもないですが
超簡単に思いつくところで
例をあげるとします。

「反り腰」であることが
仮に習慣化されれば、

アライメントに適した長さに
筋線維が短縮することは
想像できますよね。

腰椎後面の筋群に短縮が生じれば
当然前屈時の制限因子となります。

また、

「反り腰」ということは
通常の立位時において
生理的なアライメントよりも
腰椎の椎間関節が伸展位であるわけですから、

そこから腰椎伸展を試みれば
腰椎伸展の終末可動域には
早々に到達することになります。
生理的な可動域を超えた動作を強いられる
可能性が高いことになりますね。

それに伴って
関節面に対する面圧や内圧が高まるなどして
伸展時の疼痛を誘発する可能性は
どうしたって否めないわけです。

このような制限因子や
関節構造への圧力を論拠とした
疼痛の説明は他の部位でも
広く唱えられているものですから
僕も的外れなことを言っていないはずです。

他にもさまざまな理由づけが可能ですが
「反り腰」=前屈痛or後屈痛
どちらか一方に断定は難しいでしょう。



偏った見方

問題なのは
「反り腰」=「腰部伸展時痛」
という偏ったメガネを通してでしか
臨床を見られないことです。

自分のトレンドでしか
現象を評価できなければ、
考慮されなかった選択肢の中に
正解を置き去りにする可能性を残します。

それこそ、

発熱すれば「コロナかな?」
咳している人を見て「コロナかな?」
検査をしたらコロナもインフルも陰性で
「じゃあ私のこの熱はいったい何??」

...って言っている素人と
大して変わらないわけです。

「いったい何?って
 単に風邪じゃないですか?」

と伝えても
納得がいかない方によく出会います。

明確な分かりやすい「ウイルス名」で
症状に名前をつけてほしいわけです。



症状と原因の公式?

また世の中には
辛い症状を抱えたときに
「改善すること」よりも
「原因が見つかること」に
固執する人がいます。

自分は何か
とても重病なのではないかと考えて、

何かの診断名をつけられることで
安心を感じる人もいます。

診断名がつくまで
ドクターショッピングを
繰り返す人もいます。

「反り腰」が前屈痛か後屈痛かで
悩んでしまうというのは
そういう類のことです。

どちらか一方の論説がないと
頼りにするものがなくなるから
推論をする上で困るというだけです。

分かりやすい症状と原因の公式を
心のどこかで欲しているということです。

「後屈痛が出現するはずの
 反り腰なのに前屈痛がある。なぜだ?」
と疑問を持ったところで

そもそもの
「反り腰」=「後屈痛」の
固定観念自体が誤りですから
議論のスタートから正さないといけません。

勉強して経験を積んで
傾向を知ることは大変価値あることですが、
そこに頼りきりではプロとしてナンセンスです。



体を捉えるシュートコース

ゴールに近づけば近づくほど
シュートコースは狭くなるものです。

「反り腰」=「後屈痛」
というゴールに向かえば向かうほど
その他のシュートコースは選択肢から消えます。

一旦立ち止まって
ペナルティエリア外からゴールを見れば
あらゆる選択肢と可能性が見えるはずです。

O脚=腸脛靭帯炎
X脚=鵞足炎
みたいなのもそうです。

目の前の身体を見ている
あなたのポジションが悪ければ
クライエントにとって不利益ですよね?

臨床に対する治療家のポジションのお話です。
伝わりましたでしょうか。




花田は新患対応で何を見ているか?

▲記事に書かせていただきました。
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