君の視線を感じてた。でも、気付かない振りをしていた。怖かったから。君がまた辛い思いをしてしまう気がして。遠い遠い昔を思い出して不安にかられてしまうんじゃないかって。今生ではあり得ないことなのに…。それでも、思い出して辛い思いを思い出して君が泣くんじゃないかって思ってしまうんだ…。
あなたは僕に看取られて、幸せそうに笑って目を閉じたね。でもね、僕はこんなこと望んでなかったよ。僕はあなたの冷たくなった手を握り独り呟く。「祈ってた。まだ一緒にいられます様にって。願ってた、あなたの笑顔を守れます様にって。ね、神様なんていないんだね…。」神様なんてさ…いないんだね。
「逝かないよ 約束したから…」貴方は微笑む。悲しげな光をその瞳に宿して。約束…。そう。私が貴方に無理矢理させた約束。死しても、私の傍から離れないでと。貴方が優しいのを知っていて私が貴方を縛っている。私の呪縛から逃れられない優しい貴方。その瞳の光を知っていても私は貴方を縛り続ける。
『もしも僕が狂ったら…』 もしも僕が狂ったら君の手で殺して…。 君に何をするかわからないから。 君にひどいことをして生きていけないから…。 だから、僕が狂ったら君の手で殺して…。
燦々と輝く君に淡く輝くあの人が嫉妬している。闇の中で淡く輝くあの人は、燦々と輝く君を覆い尽くしてしまいたいと願うけれど、それは出来ないことを知る。淡く輝くあの人の子が燦々と輝く君に近付いたために燃えてしまったから。淡く輝くあの人は燦々と輝く君の陰になり淡い光で闇を照してる。
あなたは…あなたは誰ですか?あなたはあなたでしかありません。誰にもなれません。あなたはあなたでしかないのです。でも、何かを生み出すことも、何かを成し遂げることはできます。あなたがあなたで在ることをあきらめなければ。あなたはあなたでしかないのです。あなたで在ることを忘れないでいて。
君は何処に居るの?君は僕を探してくれているの?僕を思ってくれているの?早く逢いたい。長い輪廻を繰返した。魂の繋がりを信じて。君だけを思って。君だけを探して。何処に居るの?見つけ出すよ…僕のファム・ファタル…。
「ねぇ、いつもみたいに笑ってよ…」彼に言われて笑おうと微笑んでみせたつもりだった。「笑ってくれないの?なんで?」違う私は貴方に笑いかけてる。ほら、ちゃんと見て微笑んでいるでしょ?彼は無言で私に手鏡を渡す。私は鏡の中の自分に笑いかける。でも思いとは違い鏡の中の私は微笑んでいなかった
「怖いか?」貴方と地獄に堕ちると決めた。そんな私に貴方は訪ねる。「怖くないわ。」貴方の瞳を見つめて言う。真っ直ぐに愛しい貴方の瞳を見据えて。「そうか…分かった。」怖いのは貴方ではないの?覚悟が揺らいでる。「私は、全てをすてて貴方を選ぶわ。貴方は…ッン…」深い口付け。それが貴方の…
僕たちの始まりは何処だった?寧ろ、始まってもいなかったのではないだろうか。気がつけば側にいて気がつけばいつも一緒だった。言うべきことも言わず。ただ一緒にいただけではなかったか?始まりもしていないのに、気がつけば、終りというものがきていた。僕たちに果して終りは存在して良いのだろうか
「雨音と君の寝息と」 外は雨。 君と二人、家の中。 テレビをみたり、他愛ない話をしたり過ごす。 気がつけば、君は僕の肩に頭をゆだね寝息をたてている。 雨音と君の寝息を聞きながら、僕も微睡む。 トタンっ、ピチョンっ…。 雨音を聞きながら、君の寝息を聞きながら。
愛しい(いとしい)は、愛しい(かなしい)とも読める。愛しくてかなしくて愛とは、そんな思いのあつまりをさすのかもしれない。冬空を眺め思う。愛しくてかなしい思いの行く先を。
『媚薬』 君が潤んだ瞳で見つめる 僕に強請る もっと、もっと…と。 吐息混じりの艶めいた声で。 交わる吐息。 君の肌が薄紅に色ずく…。 貪るように…欲するままに…。 重なり合う二人の影が、淡い月の光に 映される。 君は僕を欲情に駆り立てる媚薬。
『泣いてるよ』 置いてけぼりの 悲しい子 一人ぼっちで泣いてるよ。 膝を抱えて泣いてるよ。 笑ってるけど泣いてるよ。 気付いてあげて。 寂しいよって泣いてるよ。 置いてけぼりの 悲しい子。 一人ぼっちで泣いてるよ。 早く気付いて。 道化のようなあの子の涙に