2021年10月の記事一覧
播磨陰陽師の独り言・第八十二話「分相応の生き方を」
入院する前、自分で出来る範囲を超え、かなりオーバーワークになっていました。仕事がオーバーワークになると、あちこちに歪みが生まれ自転車操業になってゆきます。しかし、どこかで一度、立ち止まってみなければ今がそうだと分からなかったのです。
これらのことを何度か経験してみて、
——余裕を持った生き方こそが、人間らしい生き方だよな。
と、つくづく感じました。
分相応と言う言葉があります。
どこかで
近世百物語・第六十三夜「あれこれの心霊写真」
世の中には〈心霊写真〉と呼ばれるものがあります。その多くは錯覚ですが、中には錯覚とは言いがたいものもあります。自分で心霊写真を撮ることは少ないですが、職業柄、心霊写真の判定やお祓いを頼まれることが多いです。
『怖い話のウラ話』第10話にも書きましたが、心霊写真は自動プリント・マシンが発明されてから世の中に増えました。それまでは写真屋さんが手作業で現像していましたので、奇妙な写真はおおぴらに現像
播磨陰陽師の独り言・第八十一話「映画ハーヴェイのこと」
いくつかの映画は様々な理由からテレビでは放映されなくなりました。昔は大丈夫だった映画も、最近はダメになりました。その理由の多くはテレビ局側の自主規制であって明確な理由は説明されません。そんな放映されなくなった映画の中に良い映画が含まれています。
映画『ハーヴェイ』と呼ばれる作品もそのひとつです。ハーヴェイは主人公にだけ見える大きなウサギの名前です。
映画『ロジャー・ラビット』の中に、
「大き
播磨陰陽師の独り言・第八十話「ブロック玩具」
以前に、子供の頃に、ダイアブロックなどのブロック玩具で遊んでいたことを書いていました。
最近のブロック玩具は、あれからかなり進化しているようです。もう、五十年以上も経っているのだから当然と言えば当然です。
幼い子供の知能のほとんどはブロック玩具か、粘土細工か、さもなくばお絵描きで養われて行きます。もちろん、私も例外ではありませんでした。幼い頃は、ダイアブロックと、油粘土と、ちびたクレヨンだけ
播磨陰陽師の独り言・第七十九話「ピンホール・カメラ」
カメラが好きです。昔からカメラが好きでした。今はデジタル・カメラが主流ですが、昔はそんな物はありませんでした。
最初に触ったカメラは自作のピンホール・カメラです。その前に雑誌の付録の日光写真を少しいじってから、雑誌に作り方が載っていたピンホール・カメラを作ってみたのです。
日光写真と言うのは感熱紙のような紙の上に、絵の印刷された半透明の紙を乗せて、しばらく日光にさらすものです。インクのないと
播磨陰陽師の独り言・第七十八話「エゾシカと醤油」
わが家には何種類かの醤油があります。大手の有名な醤油はありませんが、いくつかの地方の特産醤油を取り寄せて使っています。
実家の廊下には歩くのに邪魔な大きなフリーザーがあって、中に、時々、エゾシカの足が入っていました。横置きのフリーザーは丸ごとエゾシカの足が入ります。もちろん、鮭も、タラバガニも、切らずに入る大きさです。それはそれで良いのですが、なにせ廊下の半分を占領しているため、歩くには少々邪
播磨陰陽師の独り言・第七十七話「大正琴の音色」
子供の頃、家にあった唯一の楽器は大正琴でした。大正琴と言うのは、大正時代に作られた琴の一種です。鍵盤の部分に数字が書いてあり、オタマジャクシではなく、数字の楽譜を見て演奏する楽器です。もちろん、小学校で買わされるピアニカやリコーダーはありました。それらは、音楽室以外では袋に入っていて練習することもありません。
大正琴と言えば、
——いのち短かし、恋せよ乙女。あかき唇、あせぬ間に……。
と、ゴ