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播磨陰陽師の独り言・第七十九話「ピンホール・カメラ」
カメラが好きです。昔からカメラが好きでした。今はデジタル・カメラが主流ですが、昔はそんな物はありませんでした。
最初に触ったカメラは自作のピンホール・カメラです。その前に雑誌の付録の日光写真を少しいじってから、雑誌に作り方が載っていたピンホール・カメラを作ってみたのです。
日光写真と言うのは感熱紙のような紙の上に、絵の印刷された半透明の紙を乗せて、しばらく日光にさらすものです。インクのないところが焼けて絵が残ります。
ピンホール・カメラは、確か小学生の頃に遊んだと思います。雑誌に作り方が書いてあったくらいの簡単な物でした。写真が撮れる訳ではありません。ただ、針の穴から入って来た光がロウの塗られた紙に像を結ぶだけのものです。しかも上下逆さまの画像です。ロウの塗られた紙は、親がタバコをまとめ買いしていたため簡単に手に入りました。タバコの包み紙はロウが塗られ防水になっていたのです。
ピンホール・カメラを作り終わった時は、ちょうど夕方でした。十勝平野の夕焼けは空全体がオレンジ色に光輝きます。はじめて覗いたピンホール・カメラの中にオレンジ色の夕焼けと美しい大雪山の山並みが見えました。それはとても美しく感動したことを覚えています。
それからいくつか大きさの違うピンホール・カメラを作ってみて、様々な景色を覗いてみました。この時の感動は今でもハッキリと覚えていて、あの感動と共にピンホール・カメラの作り方もキッチリと覚えています。
今は、ポラロイドのピンホール・カメラを持っています。これは、撮影した後にピリッと剥がすタイプの古いカメラです。フィルムを手に入れるは難しいです。他のポラロイドカメラのフィルムは、最近、復活したようです。
アナログの光学フィルムを使うカメラは最近ではチュキがあります。実はチュキのフィルムを使う外国製のカメラもいくつか持っていて、デジタルにはない味わいを楽しんでいます。デジタル写真も好きですが、いつかピンホール・カメラを覗いた時の、あの感動を、また味わいたいものです。
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