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播磨陰陽師の独り言・第七十八話「エゾシカと醤油」
わが家には何種類かの醤油があります。大手の有名な醤油はありませんが、いくつかの地方の特産醤油を取り寄せて使っています。
実家の廊下には歩くのに邪魔な大きなフリーザーがあって、中に、時々、エゾシカの足が入っていました。横置きのフリーザーは丸ごとエゾシカの足が入ります。もちろん、鮭も、タラバガニも、切らずに入る大きさです。それはそれで良いのですが、なにせ廊下の半分を占領しているため、歩くには少々邪魔でした。
以前、エゾシカの足の一部をもらって来て大阪の家で焼いて食べたことがあります。普段は、門司港の醤油を使って味付けしますが、エゾシカは北海道の昆布醤油の方が美味しかったです。
色々な食材を試すと、北の食材は北海道の醤油が、南……九州のことですが……の食材は九州の醤油が合うようです。まぁ、当たり前と言えば当たり前のことです。しかし、実際に味わってみなければ、なかなか分からないところです。
エゾシカは普通のステーキよりも干し肉が美味しいと思います。もう、ずいぶんと昔のことになりますが、狩勝峠の頂上の売店へ行っては、よくエゾシカの干し肉を買い求めたものです。他で売っているエゾシカの干し肉をいくつか買って食べてみましたが、やはり狩勝峠の物が一番でした。
エゾシカのステーキにかける北海道の昆布醤油は鮭の切り身にも最適です。他の醤油をかけるより、かなり美味しいと思います。しかし、この昆布醤油を九州の食材にかけて食べたら、あまり美味しくはありません。
九州の醤油はかなり種類があります。その中でも門司港のヤマニ醤油が好きです。ヤマニ醤油は、門司港で生まれた創業90年の醤油メーカーです。門司港に来てヤマニ醤油を味わった友人たちは、お土産にこの醤油を買って帰ります。
他にも醤油発祥の地、和歌山の湯浅醤油やいくつかの醤油を使っています。旅行に行くと、地元の醤油を味わって、つい買ってしまうのです。
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