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春日 うらら(元ハムミミ)
2021年10月5日 12:11
ハムちゃん先生には最近不可解なことがある。夜のお散歩をしていると、同じ場所で何者かに話しかけられるのだ。お散歩コースは決まって大徳寺周辺。その声は大徳寺の土塀に沿って歩く時に聞こえる。「はにゃ?」という疑問系のイントネーションで問いかけてくるのだ。恐らく最近人間の間で流行り出した言葉なんだろうとハムちゃんは思っていた。いつもは暗くてその姿がわからない。そこで今日は正体を突き
2021年9月9日 18:05
ハムちゃん先生は京都の街を移動する機会が増えたので、交通手段を考えていた。人間と同じように京都市バスや地下鉄に乗ってもよいのだが、迷子のハムスターと間違われて捕獲される恐れがある。なるべく人間に目をつけられないように移動したい。さて、どうしたものか。考えてみた。1.ルンバを改良して乗ってみたルンバに乗って移動すれば、京都の街がお掃除されてピカピカ。一石二鳥だと思っていた。しかし哲学の
2021年8月27日 22:59
迷って進めない方背中押します。そう書かれた張り紙が街の掲示板に貼り付けられていた。ここは天使突抜二丁目。京都には風変わりな名前の土地が多く存在する。その中でもとりわけ目立ってロマンスなのがこの場所だ。ハムちゃん先生はこの日、西洞院通りを南に向かって歩いていた。四条通りを過ぎて、もうすぐ五条通りに着きそうな時だった。ものすごいスピードで白い何かが背後から走り去った。あやしい
2021年8月16日 02:04
夜中の0時を過ぎると灯りのともる建物が京大の敷地内にある。ここはハムちゃん先生が気まぐれで経営するホテル ソンジョソコラノだ。いつも研究をしている附属図書館のすぐ裏側にあって、普段、人間が使うことは滅多にない。もちろんこの施設も人間の研究のために開いた。一般的なホテルと異なる点は、宿泊料金を支払う必要のないこと。宿泊した客は、引き換えに自分のみた夢を提供することになっている。
2021年5月30日 08:23
毎朝、早朝の5時になると図書館の書庫からピアノの音が聞こえてくるハムちゃん先生の朝の日課だ起きたらまずピアノに向かうそして必ず決まった曲を弾く曲はJ.S バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番のプレリュードだ曲名を知らない人でもどこかで出会ったことのある有名なプレリュード 毎朝同じ曲を弾くことによって自分の体調を知る手がかりにしているのだというまずは演奏を
2021年5月21日 00:22
京大の名物、時計台。この時計台のてっぺんには何があるのでしょう。ここには、ハムちゃん先生行きつけの居酒屋がある。京都の景色を全方位楽しめるルーフトップバーだ。開店は夕暮れ時。緊急事態宣言で京都はどこも20時閉店だが動物には関係ないのだ。真夜中まであいている。店主はカラス。その名もカラスミ。にんげんから忌み嫌われる鳥でもあるが京大のどうぶつさん達からは人気がある。
2021年2月27日 04:15
◇◇◇◇◇【実験参加者募集】◇◇◇◇◇◇◇あなたについた変な癖、取り除きますどんな癖でもOKです。お問い合わせください。◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇そう書かれた貼り紙が図書館の地下へと向かう入り口に貼られていた。ここはハムスタラボ。京都に隠れた名医がいると噂になっている。何をしてもやめられなかった癖がここに来れば簡単に治ってしまうというのだ。といっても、ハムち
2021年1月4日 21:02
「カモさん、流れに逆らって泳ぐのは大変でしょう。」ハムタコスキーは申し訳なさそうに尋ねた。この疏水は琵琶湖の水を京都市へと流す目的でつくられたものだから、これから琵琶湖へ向かうとなると逆行しなければならない。「いや、そんなことあらへんわ。むしろな、流されて生き続けたら、鴨川のカモはどうなると思う?」「あのまま鴨川の下流に流され、それから行き着く先は大阪の淀川でしたかな」「そうや
2021年1月4日 19:08
「これからどうしていくんか知らんけど困った時は鴨川デルタに来たらええわ。日中はいつもあの辺でランチしてるからな。」カモは京都で最初の心強い知り合いとなった。「こりゃまたご親切に本当にありがとうございました。あなたのお陰で見たことのない自由が手に入りそうです。」御礼を告げたハムとカモは近江舞子の浜辺で別れることにした。( 鴨鍋になるなよ。また会おう。)比叡山を目掛けて飛んでい
2020年12月15日 18:42
一匹のハムスターが鴨川に向かってボソッと言った。「こんな仕事やってられるかっ」そうつぶやいて、GPS機能付きの社用首輪を鴨川に投げ捨てた。これは、ロシア政府から日本に送り込まれた秘密兵器、ハムスターのスパイの物語である。ハムタコスキーはGPSを首につけられ、日々監視されている。潜入中の企業から技術や情報を盗み取り、報告するだけの生活に嫌気がさしていた。「ハムスターはよく回し車
2020年12月10日 18:49
人間には計り知れない世界。それは案外、身近な場所に存在する。たとえば、京大附属図書館の書庫地下3階。ここに小さなちいさな研究室がある。これまでに、誰からも探されることのなかった本。それだけが集められた本棚。読まれずに眠っている本と本の隙間に、一匹のハムスターがいて、ひっそりと人間の研究をしている。彼はアンビエント国が日本へ送り込んだスパイ動物。アンビエント国は、ハムス