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小沢健二~人類文化最後の輝き~瓦礫と化した時代。

食と同様、人類文化にも「旬」というものがある。

今日は、私たちが過ごした「黄金の1990年代~ミレニアムの時代」の文化貯金から、「時代の旬」の事例を引っ張り出してみたい。

映画ならば、リドリー・スコット監督『ブラック・レイン』(1989年)の時代とのグルーヴは凄かった。

松田優作の遺作となった作品で、この作品での優作は異様なまでの輝きを放っている。

バブル最後の狂騒とワンダーランド大阪、優作、そして奇跡のわき役陣、、
映画一本で世の中がグルーヴする瞬間をハッキリと体験した。

音楽なら、やはりジャパスプ(レゲエ・ジャパン・スプラッシュ)だろう。
よみうりランドイーストから一気にブレイクして横須賀に場所を移したのが1991年、その後1994年まで続いた。
完全に世の中がレゲエ一色に狂乱した現象は、現在からしたら「おとぎ話」レベルである。

そこからミレニアムへ向かってテクノ~野外フェスと再びピークを迎える。

ケミカル・ブラザース、ロニ・サイズ、アンダーワールド、プロディジー、ゴールディー、ADF、エイフェックスツイン、ファットボーイ・スリム、、、、と綺羅星の如きクラブ・ミュージック陣が登場し、
日本中のナイト・クラブは毎晩爆弾が落ちているような騒ぎであった。

青山マニアックラブが1993年オープン、サブライム・レコードの設立が1994年、石野卓球主宰のWIREが1999年開始、渋谷WOMBのオープンが2000年である。

スポーツならばそしてJリーグの開幕が1993年。
中田、小野、稲本を配した「日韓ワールドカップ」が2002年、ミレニアム期最後の狂騒である(Jリーグから丁度10年後だ)。

さて、アイドル部門ならば、広末のMK5が1997年、SPEEDの「All My True Love」が1998年、モーニングのラブマが1999年、あやや師匠のめっちゃホリデーが2002年。

この時期、「時代の終焉」も同時に起きている。

X JAPANのラストライブが1997年、

ゴッドハンド大山倍達が1994年に逝去、
黒澤明監督は1998年に逝去、
ZAPPのRogerが天に召されたのが1999年、
ジャイアント馬場逝去も1999年である。

アントニオ猪木の引退試合が1998年。

そして最後の最後にJBが2006年、MJが2009年に宇宙に帰還している。

何度も書いている「時代の終焉のトリガー」であるリーマンショックが2008年であり、綺麗な一致を見ている。

以上を出来事を並べてみると、

1989年の「平成」の始まりから2009年のMJの宇宙帰還までの、
「人類文化最後の輝きの日々」という一つの時代が浮かび上がってくる。

さて、
このように「歴史」の醍醐味は「一つのストーリー」を作ることだろう。

単純に年表的に事案を並べるだけで「人類文化最後の煌めき」というストーリーが見事に浮かび上がってくるではないか。

それは、無数の星の中から「一つの星座」を見出すのに似ている。

さて、
そんな「黄金の1990年代という時代を象徴するアイコン」の一人である小沢健二は『LIFE』という日本大衆音楽史に燦然と輝く名アルバムを1994年に発表している。

個人的には、日本の大衆音楽史上第一位のアルバムである。

二位はE.YAZAWAの『ゴールド・ラッシュ』かな。

それに続くのが篠原ともえの『スーパーモデル』、

そんでJuice=Juiceの『First Squeeze』、
BEYOOOOONDSの『BEYOOOOONDS!ST』が続くか、、、。

さて話は戻り、

小沢健二という人は「バブルが弾けた後のバブルおじさんが去った後の1990年代の新世代の浮かれた空気」のシンボルであった。

それは「黄金の昭和40年代生まれ」の時代でもあった。

そして「昭和40年代生まれが支配する世界」は今現在も続いている。

そんな「黄金の1990年代」を象徴する動画がコチラ。

音痴二人が楽しそうに熱唱している笑。

サブカルに走ったキョンキョンと「オザケン」という時代の空気のシンボルである。

そしてオザケンは、ついこの間の2024年8月に「LIFE再現ライブ」というものを行ったそうだ。

つまり「いまだに1990年代の文化貯金で食ってる」のである笑。

いや、笑い事ではないな。

我々も1990年代~ミレニアムの文化貯金で十分今も食っている。

それ以前は「時代は直線状に前進していく」ものであったが、

ミレニアム以降は完全に「時代の進歩というものが停止した」状態である。

その人類最後の「時代と呼べるもの」が1990年代~ミレニアムの狂騒であった。

その時代(2000年)のフジロックおよび代々木公園のレイヴに集うリアル音楽ピープルのグラビアという貴重な資料が残っている(雑誌「Ref.」)、

もう25年も前の写真であるが「基本フォーマット」は現在と全く変わっていないという、大変に分かりやすいサンプルである。

フジロック:リアル・ストリート音楽ファッション誌『Ref.』,2000年 
代々木公園レイヴ:リアル・ストリート音楽ファッション誌『Ref.』,2000年 

そして上記の「オザケンとKyon2」TikTok動画も、もう30年くらい前のはずだ。

例えば、1980年の30年前は1950年だぞ!(当たり前だが)。

エルビス・プレスリーからマドンナまでの時間と考えると、時間軸が歪む。

少し前、私の師匠とお茶をした際に私の師匠がいみじくも語っていた。

「人類の全盛期は終わったね」

私はそのあまりに的を得た表現に衝撃を受けた。

改めて、本当に、本当に「すべてが終わった」今のこんな時代に生まれなくて良かったとしみじみ思った次第だ笑。

改めて書くが、

もはや「時代は停滞している」のではなく、

「時代という概念が粉々に砕け散って瓦礫になっている」のであろう。

それら粉々の破片をYouTubeやらWikipediaやらで拾い集めて「カルチャー風味」のモノを作っているのが現在だ。

そして、そこにはただ寒々とした風が吹いてる、吹いてる、、、

FIN.


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