被災した街の復興プロジェクトを舞台に、現場を取り巻く人たちや工事につながっている人たちの日常や思いを短く綴っていきます。※完全なるフィクションです。実在の人物や組織、場所、技術な…
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#復興
第58話 相棒思いの信さん
塩化ビニールの排水管がゆっくりと所定の位置に寄ってくる。
あらかじめ設置してある片側の固定金具にぴったりとはまった。
据え付けの軸線にしっかりと沿っている。鉛直の精度も所定の範囲内だ。
大塚信は、スマートグラスをいったん外して上下の取り合いや異常が無いことを確認すると、反対側の固定金具をはめて、ボルトを軽く差し込んだ。
再び、スマートグラスを装着して、タブレット端末からOKを指示した。ボルトを締め
ゲンバノミライ(仮) 第56話 遠くからのエリーさん
窓を開けると、鮮やかに朝日が差し込んできた。冷え込む時期に入ったが、こうやって日の光を浴びると温かい気持ちになる。
垣田エリーは、酸味のきいたブラックコーヒーを一口飲んで、いつものように設計システムを立ち上げた。担当する大型複合施設の規模縮小に向けた設計変更作業が、大詰めを迎えていた。
海辺の街の復興に向けて、構想立案から調査・設計、施工、その後の運営までを一手に担うコーポレーティッド・ジョイント