マガジンのカバー画像

何度も読み返したい素敵な文章の数々vol.10

1,620
運営しているクリエイター

2017年5月の記事一覧

ブックガイド「中東を通して、世界を知る」/ 翻訳家 マイサラ・アフィーフィー

ブックガイド「中東を通して、世界を知る」/ 翻訳家 マイサラ・アフィーフィー

この連載では、飯田橋文学会のメンバーがテーマごとに必読書をご紹介していきます。今回は、翻訳家 マイサラ・アフィーフィーが「中東を通して、世界を知る」をテーマに5冊オススメの本をご紹介します。

「中東を通して、世界を知る」いま中東は大変なことになっている。パレスチナ問題、第一次と第二次の湾岸戦争そしてイラク戦争。2010年の暮れから始まった、いわゆるアラブの春。その結果いくつかの国が内戦状態に。複

もっとみる
まったく、若さってやつは。

まったく、若さってやつは。

都会というところは、まったくおそろしいところだ。

年齢を重ねるにつれ、その思いは強くなっていく。若いころには感じることのなかった恐怖が、毎日のように襲いかかってくる。いったい、都会のなにがそんなに恐ろしいのか? ガラスである。ショーウィンドウである。そこにまざまざと映し出される、おっさん化した自分の姿である。

犬と散歩しているとき。通勤の駅に向かうとき。昼飯のため近所を放浪するとき。そして息抜

もっとみる

誰の顔になりたいか

※土曜日は読む人が激減することが判明したので個人的な話を。

不意打ちでガラスに自分がうつっているのを見たり、自分の写真を見たりすると、「思ってたより自分の顔ってそんなにイケていない」ってたまに感じますよね(感じませんか? ごめんなさい)。

やっぱり人って「自分のことを過大評価している」んですよね。悲しいことに。

そういう「自意識」のようなことを探るのってすごく興味がありまして、色んな風にして

もっとみる
日本を色眼鏡で見て欲しい

日本を色眼鏡で見て欲しい

おはようございます。インバウンド(訪日)メディアMATCHA(https://matcha-jp.com/jp/)の植松です。

今日は、日本のことを見るいくつもの色眼鏡を作っていきたい、という話をします。

以前の投稿で、「編集とは世界の価値を濃密にする仕事」「インバウンドメディアを通じて、海外の方に日本の新しい魅力を感じてもらいたい」という話をしました。

それでは新しい魅力を感じてもらうとは

もっとみる
自己という病

自己という病

 

※「まなざしのデザイン <世界の見方>を変える方法」の第12章に修正稿を載せています。そちらもご参照下さい。

 「自己肯定感が持てない」という病は深刻である。多くの人が自分も知らない間に、この病にかかっている。そしてこの病は何をするにしてもやっかいなのである。というよりも生きていく上で厄介である。場合によっては死に至る病なのだ。
 この10年ほど、社会人や学生を含めて色々と観察してきた中で

もっとみる
西荻窪の思い出と、「条件検索」からこぼれ落ちる"何か"のこと

西荻窪の思い出と、「条件検索」からこぼれ落ちる"何か"のこと

家賃60,000円以内 / 築20年以内 / 駅徒歩10分以内 / バストイレ別 / 南向き

身長170cm以上 / 年収600万円以上 / 転勤なし / 離婚歴なし

居酒屋 / 渋谷 / 予算5,000円〜 / コースあり / 飲み放題あり / 禁煙

家も結婚相手もレストランも、ぽちぽちっと条件をチェックすれば探すことができる。すごい時代だ。

「効率的だ」と誰かが言った。
うーん、そう

もっとみる
「サヨナラ」に対して人が紡ぐことばについて。

「サヨナラ」に対して人が紡ぐことばについて。

お昼休みに中島らもさんのエッセイ『愛をひっかけるための釘』を読んでいたら、こんな文章が出てきた。

この世のものならぬ至福の中に自分があればあるほど、いつかそのめまいに似た幸福に終わりがくるであろう予感も確固たるものになってくる。

(中略)時代が変わり、人が変わるたびにさまざまな表現で言いあらわされるけれど、本質はすべて同じことである。「生者必滅(しょうじゃひつめつ)、会者定離(えしゃじょう

もっとみる
昼飯をめぐるリズム・アンド・ブルース。

昼飯をめぐるリズム・アンド・ブルース。

まったく人間ってのは浅ましい生きもので。

頻度でいうとどれくらいでしょうか。週に一度くらいかなあ、二度あるのかなあ。きょうなんかはまさにそれなんですけど、朝からずっと「きょうのお昼、なに食べよう?」しか考えられない日があります。

一瞬あたまに浮かんだラーメン屋さん(喜楽)は、本日休業でした。こうなるともう、いまさらハンバーガーとかサンドイッチとかの「ランチ」には引き返せません。ラーメンや大衆中

もっとみる
映画的思考と、小説的思考(ムーンライトを見て感じた「何からメッセージを読み取るか」という話)

映画的思考と、小説的思考(ムーンライトを見て感じた「何からメッセージを読み取るか」という話)

この前、映画「ムーンライト」を見た。

結論から言うと感想は「うーん…」

あの行動に到るまでの感情の変化が見えないとか、あの態度の変わり方が理解できないとか、えっそこで終わるの?とか、納得できないことが多かったのだ。

鑑賞後、他の人の感想を聞いたりWEB上でレビューを見ているうちに

みんな映像や表情からコンテクストを読み取るのがうまいなあ…!と驚愕した。

「あの行動に〜〜という気持ちが現れ

もっとみる