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BGM contes

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音楽に触発されて生まれたコント。もしくは情景素描。
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#創作

BGM conte vol.15 『天体観測』

BGM conte vol.15 『天体観測』

小惑星が地球に接近しているらしい。

ひょっとすると地球に衝突するかもしれない。

世界は騒然となった。

だって、それが衝突するかもしれないと世界が知ったのは、ほんの数日前だったのだから。世界中の優秀な科学者たちは、いったいなにをしていたのだろう。しかし今更彼らを責めたところで始まらない。もっと前から知らされたところで、僕ら人類になすすべなどなかったのだから。地球でおそらく一番賢いとされる人物が

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BGM conte vol.14 『ばらの花×ネイティブダンサー』

BGM conte vol.14 『ばらの花×ネイティブダンサー』

そのモーパッサンの青い布張りの初版本の奥付には、大正二年とあり、西暦に直せば1913年である。左下の余白には見知らぬ名が毛筆の可憐な字で小さく書かれてあった。

秋冬の連休の中日などにふと思い立って実家に顔を出すと、死んだ父の書斎に立ち入って、書棚からめぼしいものを引っ張り出してきては大時代風のカビ臭い安楽椅子に身を埋めながら読むとはなしにページを繰るうち、いつしか寝入ってしまう。そんな日は目を覚

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BGM conte vol.10 《N.E.O.》

BGM conte vol.10 《N.E.O.》

 中東某国には王子と呼ばれる人たちが複数いて、誰にも王位継承権のあることから、水面下ではそれはそれは壮絶な足の引っ張り合いが繰り広げられている。彼らは私設の暗殺部隊を各自所有しており、少しでも油断すれば拉致され切り刻まれて下水溝に流されるなんてことにもなりかねない。笑顔で握手を交わしながら、後ろに回した手に匕首が握られてるなんてのは、だから日常茶飯なのである。

 遊び方もまたド派手で、鷹狩りに凝

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BGM conte vol.9 《Something》

BGM conte vol.9 《Something》

「あの、君は……素敵だね。なんというのかな、なにか、あるんだよね。たとえばその歩き方とか……」
 冷たくされても彼はどこ吹く風で、またじっと物陰に隠れて女の子たちの集団をひとしきり観察すると、ふらふらっと出て行って、そのなかの一人に声をかける。
「君は、控えめで、みんなに話を合わせる感じだけど、遠慮はいらないんじゃないかな。とっても魅力的だよ、顔がいいとか、スタイルがいいとか、そんなんじゃなくて、

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BGM conte vol.8 《黄昏のビギン》

BGM conte vol.8 《黄昏のビギン》

「あら、コウさん。どないしたん、こんなとこで」
「……サワさんこそ、なにしてん」
「あとで使いが行くからって、おばあちゃんが。庚申さまの辻で待ってなって」
「ぼくはじいちゃんに、母ちゃんが庚申様のところで待ってるから、傘持ってってやりぃって」
「なんで、おじいちゃん、コウさんのお母さんが辻で待ってるってわかるんやろ」
「それやがな。変やなとは思うたんやけど、じいちゃん最近耄碌しとるし、変に逆らうと

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BGM conte vol.7 «それはスポットライトではない»

BGM conte vol.7 «それはスポットライトではない»

新宿といえばロラン・バルトもフレディ・マーキュリーもこぞって二丁目に日参したものだがいまや思い出横丁もゴールデン街も外国人の溜まり場のようになっていてとりわけヨーロッパの男どもはゴールデン街がお気に召したようだがそれは安い酒が飲めるからで安い酒のあるところには安い女が必ずいるもので日本人の男が行ってもお呼びでないよの顔されてすこぶるバツが悪い。

向こうは見透かされるのを嫌がるようだが安い女でもい

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BGM conte vol.6 «We’re All Alone»

BGM conte vol.6 «We’re All Alone»

 同期会の二次会で、妻の命日になにをするのかと聞かれて、独り静かに過ごすさと答えた轡木だった。

 しかしじっさいは、独り静かに過ごすどころではなかった。三人の子どもたちは銘々の子らを、つまり孫たちを引き連れて前日から轡木の隠居先に押しかけ準備に取り掛かり、当日は昼過ぎから盛大に会食した。轡木の隠居先は海水浴場にほど近く、プール付きとはさすがにいかないが、広い庭もあった。そこに皆が集ってバーベキュ

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