#全文公開【小説風エッセイ】夫婦〜夫の誕生日会〜[家族親族](1622文字)
8月31日は夫の誕生日でした。
例年だと誕生日には夫婦で外出するのですが、今年は急に仕事が入ってしまい、昼間は仕事をしていたので、夜に夫婦で誕生日会を行いました。
台所兼居間の軽い掃除から。
食卓の準備。
夫が帰宅する前に、ふわとろ長茄子の鉄鍋蒸し焼きと毎晩食べるニンニクのオリーブオイル焼きと毎晩食べる温泉卵を作っておき、毎晩食べる納豆と毎晩飲む酢水と一日二食食べるぬか漬け盛り合わせを用意しておきました。
夫が帰宅。
夫は名品のトマトを切ってくれました。
2人で温泉卵の卵の殻を割って、中身をそれぞれの器に入れました。
それらを食卓に並べた後。
私の誕生日に夫が贈ってくれた、キャミソールワンピースに私が着替えてから、2人ともいつもの席に着いて、記念撮影をしました。
それが終わると、夫が、
「本日は、お招きいただきまして、ありがとうございます」
と妙にかしこまって長めの挨拶をしました。
そして、
「いただきましょう」、
「いただきましょう」、
夫の言葉に私が応えて言いました。
まず、名品のトマトから食べました。
果物のような、洋菓子のような、上品で美味しいトマト。
次は、ふわとろ長茄子の鉄鍋蒸し焼きを食べました。
洗練された、おしゃれな味の、美味しい、ふわとろ長茄子。
次は、ぬか漬け盛り合わせを食べました。
ちょうど良い漬かり具合で美味しい、胡瓜と西洋人参。
次は、納豆を食べて、酢水を飲みました。
いつもながら美味しい納豆と酢水。
ここで、調理タイム。
夫が麺つゆを作り、十割蕎麦を茹でました。
夫は麺茹での名人で、我が家で麺類を食べる時には必ず、夫が茹でます。
グルテンフリーパスタと素麺も候補でしたが、買物に行った時の気分で、十割蕎麦に決めたそうです。
温泉卵が乗っかり、麺つゆに浸った状態の十割そばを食べました。
素晴らしく美味しい十割蕎麦でした。
「ニンニクのオリーブオイル焼きの油に浸してごらん」
と夫が言いました。
「蕎麦と油は合うのだよ」
「油で焼いた茄子や天ぷらを蕎麦に乗せるものね」
と私が言いました。
「蕎麦と油が合うのは、わかる」
2人はニンニクのオリーブオイル焼きの油に、少し取った十割蕎麦を浸して食べました。
「美味しい!」
と私は言って、3回分、ニンニクのオリーブオイル焼きの油に十割蕎麦を浸して食べました。
それから、麺つゆに戻って、十割蕎麦を温泉卵に絡めながら食べました。
残った麺つゆを、美味しい蕎麦湯でのばして、飲みました。
最後は、2人とも一番楽しみにしていた、デザート。
以前は誕生日にはケーキ屋さんにホールケーキを注文していたのですが、小麦粉と砂糖が体に良くないということを知ってからは、夫がパフェを作ってくれるようになりました。
私の誕生日には苺&有機バナナパフェでしたが、夫の誕生日には有機バナナパフェ。
有機バナナを4本使いました。
夫は、有機バナナを真ん中で十字に切り、切ったものをひとつひとつ、中鉢に飾るように並べました。
生クリーム1パックにディナースプーン2杯のオリゴ糖を入れ、電動泡立て器で泡立てました。
あっという間に泡立った生クリームを、中鉢の有機バナナの上に乗せて、できあがり。
有機バナナパフェを食べました。
「塩を入れ忘れた」
と生クリームを一口食べた夫が言いました。
大丈夫です。
とろけるように美味しい有機バナナパフェ。
とても幸せな一時でした。
これで、夫の誕生日会のご馳走は終わり。
食べ終わるとすぐに、夫は、何と、パスタ鍋と大皿を洗ってくれました。
夫が誕生日会の主役なのに!
「あなたの誕生日なのに、私がすっかりご馳走になってしまって」
と私。
「洗いものまでしてもらって」
「良いのです」
と夫。
「私には、妻の幸せそうな顔が一番のプレゼントです」
幸せそうな顔なら、いくらでもプレゼントできますよ、私は、本当に幸せだから。
ありがとう、夫。
あなたと出会えて、結婚できて、本当に良かった。
お誕生日おめでとう。
これからも、できるだけ多く、一緒に誕生日会をしましょうね!
天野マユミ
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