- 運営しているクリエイター
記事一覧
動物問題と部落差別(序)③攻撃性の連鎖を止めることはできるか?
*②の続きです。
フェミニズムの攻撃性――「自分たちは報われない」という悲壮感
——「肉を食べないのは部落差別だ」というのもそうだし、さっきの「農家さんがかわいそうだろう」というのもそうですけど、こういうのってなぜか第三者が言ってくることが多いんですよね。当事者ならともかく、どうして第三者が激昂して言ってくるのだろう、という点も気になります。
栗田 今回深沢さんが受けたひどい発言の数々は、深沢
動物問題と部落差別(序)②日本の肉食禁止と差別の歴史
*①の続きです。
(文責:深沢レナ)
日本の肉食禁止と差別の歴史
――日本って675年に肉食禁止令が出されてから、長い間、国家が肉食を禁止していましたよね。そのことによって肉食に対する差別が生まれたのでしょうか?
生田 歴史的な問題については僕もそんなに詳しいわけじゃないんですが、『いのちへの礼儀』を書くときにかなり調べました。
日本では飛鳥時代の675年に最初の肉食禁止令が発布されるん
動物問題と部落差別(序)①ヴィーガンは部落差別?
ヴィーガンである深沢が、先日あるフェミニズムのイベントで動物問題について発言したところ、2人のフェミニストから「ヴィーガンは部落差別だ」と激しく批判される出来事がありました。ヴィーガニズムを広めることや、動物の置かれた現状を改善することは本当に部落差別なのか? 日本の肉食禁止と差別の歴史を振り返り、天皇制と部落差別の関係、フェミニズムの加害性にまで踏み込み、動物問題と部落差別のあり方をレギュラーメ
もっとみる動物運動小史④別の何かを踏みつけないために
*③の続きです。
動物にたとえる必要性
——次の質問です。「井上太一さんの本をたくさん読ませていただいております。現在パレスチナに対して行われている虐殺に関して、イスラエルの防衛大臣がガザの人たちを「人間動物(ヒューマンアニマル)」と呼び、虐殺の一つの心理的な証拠になりました。保井啓志さんという研究者が、井上さんの著作を引用しながら、批判的動物研究とセクシュアリティ、パレスチナ、ケアなどを交差
動物運動小史③寄り添い(ケア)の倫理/狩猟をめぐって
*②の続きです。
寄り添いの倫理(ケアの倫理)とは
——生田さんと井上さんは、ウェブ上でそれぞれの著書の書評を書かれて、その上で、いくつか異なる立場を巡って論争されています。とても面白いので、興味のある方はぜひ読んでいただければと思います。
その論争の一つが、先ほどからちょくちょく名前が出ている「ケアの倫理」で、井上さんの訳だと「寄り添いの倫理」と訳されています。まず、ケアの倫理とは改めて
動物運動小史②運動を担ってきた女性たち
*①の続きです。
批判的動物研究とは?
——今日の本題、動物運動の歴史に入っていきます。井上さんの『動物倫理の最前線』は、批判的動物研究という学問を紹介する本となっていると思いますが、改めて批判的動物研究とはどういった学問なのか教えていただけますか?
井上 批判的動物研究は、動物倫理学から派生した学際研究ということになります。よく知られているように、ピーター・シンガー、トム・レーガンらが、
動物運動小史①ヴィーガニズムの広まり/養豚場で働いてみて見えたこと
2023年下半期からはじめたシリーズ「動物問題連続座談会」。第7回目は、動物倫理に関する数多くの本を日本に紹介してきた翻訳家の井上太一さん、静岡県川根本町で古民家カフェを営む文芸評論家の川口好美さんをお招きし、日本・海外における動物運動や思想の流れ、運動を担ってきた女性たち、寄り添いの倫理(ケアの倫理)とは何なのか、狩猟の是非など、時に同じ・時に異なる意見を持った4人でとことん議論を重ねました。
はじめて学ぶ「動物実験」④Q&A
*③のつづきです。
海外の運動との違いは?
生田 僕は先日フィリピンの貧困問題の現場に行って意見交換してきて、いろんな刺激を受けたんですが、JAVAさんは各国の支援団体と連携して日本との違いを感じることはありますか?
和崎 一番はやはり規模の違い——それは動ける人員の人数の違いもそうですし、財政的な点でも違いを感じます。やはり海外の大きい団体はすごい豊かで、サポーターの方の数も違います。何十万
はじめて学ぶ「動物実験」③わたしたちにできること
*②の続きです。
犠牲になっている動物のことを考えずに医療を受けられる権利
——私達はこれまで座談会を半年やってきて、畜産の問題や動物園の問題は特に踏み込んで見てきたのですが、動物実験については私も不勉強だったので新しい発見がありました。
やはり、畜産・動物園よりも一層、動物たちが道具として使われる、そして使い終わったら廃棄されることが肯定されている分野だという印象を受けました。畜産の場で
はじめて学ぶ「動物実験」①そもそも動物実験ってなに?
2023年下半期からはじめたシリーズ「動物問題連続座談会」。第6回目は、
動物実験の実態について学ぶために、特定非営利活動法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)より、事務局長の和崎聖子さん・理事兼事務局職員の石島伊代さんをお招きしました。動物実験はどこで行われているのか? 実験に使われる動物はどこからくるのか? なぜ動物実験はいけないのか? といった基礎知識から、動物実験がなくならない理由、なく
ヴィーガン・ベジタリアンの人権③「植物はかわいそうじゃないのかよ?」に答えます
※②の続きです。
ヴィーガン・ベジタリアンへの偏見や不快な質問
——引き続きアンケートを見ていきます。
「実生活の中で偏見を持たれることや不快な質問されることありますか? 具体的なエピソードやセリフがあれば教えてください」という質問がありました。これに対して一番多かった回答は、皆さん薄々おわかりかと思いますが・・・
「植物はかわいそうじゃないんですか?」ですね。
「宗教と思われる」「変な
ヴィーガン・ベジタリアンの人権——アンケート調査結果② 知られていない苦悩編 【ゲスト:ASー動物の倫理と哲学のメディア】
*①の続きです。
ヴィーガン・ベジタリアンの抱える苦痛
——ではアンケートの後半を見ていきましょう。
今も話が出たように、“偉そうな存在”みたいに見られがちなヴィーガンですけども、普段どれくらい我々ヴィーガンやベジタリアンが苦しんでるかということって、一般の人に全然知られていないと思うんです。今回はぜひ、わたしたちがどういったところで苦しんでいるのかを明らかにしていきたいと思います。
まず、
ヴィーガン・ベジタリアンの人権——アンケート調査結果① 悩みごと&トラブル編 【ゲスト:ASー動物と倫理と哲学のメディア】
動物問題連続座談会第5回目。これまでさまざまな問題や運動の様子をみてきましたが、運動をやる上で、活動家のバーンアウト(燃え尽き)というものが大きな障害になっているということも見えて来ました。ヴィーガン・ベジタリアンは今の日本社会では超マイノリティ。その人権を向上させるということも、動物の運動を促進する上で重要なのではないか。それと同時に、ベジタリアンやヴィーガンに興味を持ちながらも実現できていない
もっとみる