マガジンのカバー画像

春夏秋冬

13
季節にまつわる、いままで制作した作品をあつめてみました。 春夏秋冬または季節感を感じたくなったらぜひここを開いてみてください!
運営しているクリエイター

記事一覧

きのうとおとつい

きのうかおとついか
忘れちゃったけれど
とっても とっても
すてきなこと
あったのさ

きのうかおとついか
憶えてはいないけど
とっても とっても
やさしいこと
あったのさ

きみが好きだって
話していた花が
やさしい夏の風に
揺れたのだ

きのうかおとついか
どっちかわかんないけれど
かなしいこと
くるしいこと
あったのさ

きのうかおとついか
ぼくは確かに生きていた
これからも あしたあさって

もっとみる

気づく

昔からちいさなことや
細かなことばかりに
気づくんです
でもなるべく
できるだけ
近い頃は
わたしに関係しないことに
気づこうと思ったんです
そうでないと
わたしは
わたしのことばかり
考えたり悩んだりしてしまう
そんな生きものであることに
わたしが気づいたからです

季節の花のかおりや
きみの表情や仕草
なにかに触れたときの
その感触やときめき
真夏の夜のやさしい
夜風の心地よさに
気づくんです

もっとみる
さざなみ

さざなみ

おもいだす秋の日

渚で

さざなみを見ていたら

細胞がとけていくのを感じて

このからだのなか

たましいだけになっていくのを

感じたよ

まだまだ

日は沈まぬぞ

覚悟したまえと

言われて

春のともだち

春のともだち

冬を越えたフキノトウたちが

長い時を忘れてしまったから

愁い事はそのままそこにおいておいてさ

日にあたりながら歩いていこうよ

知らない人の部屋から

春の水のような

歌声が

とどいたよ

ここにいると

僕は応えて

わたしたちは

ともだちになっていく

蟲 

蟲 

峠幾つも
越えては進む
懐かし詩集
携え進む

沸き立つ孤独
高鳴れ鼓動
蟲の音響く
闇夜の森よ

帰り路に
お茶でも一寸
約束果たせず
おうちへ帰る

沸き立つ孤独
高鳴れ鼓動
蟲の音知らす
光夜の森よ

朝まで話し
焚火を蒸しや
おいもを焼いては
もぐもぐ食べる

沸き立つ孤独
高鳴れ鼓動
蟲の音知らす
偉大な森よ

天魚(あまご)

天魚(あまご)

天魚が泳ぐ春の川
枝垂桜が搖れている
沼鯊[ぬまちちぶ]も氷を溶かし
天乃羽草[あまのはくさ]も生えている

ここに誰かおいでよ
霧が晴れて
きつと気分も
透き通るはず

海岸線

海岸線

太陽が沈んでいく
のを見ていると
もう死んでもいいと
本気で思ってしまう
それは1つの幸福か
それとも1つの囁きか

ずつと遠くの街まで海岸線
あそこであなたと歩いていたな
でもそれもずつと昔のことだ

誰しもが自分のことばかり
ぼくは誰と話せばいい?
なんにもまだ始まっていない気がするよ

太陽が沈んでいく
のを見ていると
もう死んでもいいと
本気で思ってしまう
それは1つの幸福か
それとも1つ

もっとみる
野焼(のやき)

野焼(のやき)

白い雪
竹の木と胡麻山椒
奏でてる
夜風と夕陽

未来予想図
柱に隠れて
あなたに
恋をしていた

時間が流れている
まさかそれは
嘘や勤勉でもなく
驚くほどに正直だ

燃えろ 燃えろ 燃えろ
村中の畑から
煙が湧いて
空へ

飽きた(秋がきた)

飽きた(秋がきた)

魚が飛んだ
水鳥取った
鳩が休憩
甘い味する
夏が帰った
頭の上に
梨落っこちて
わたしは飽きた

青色の雲
赤色のスポーツカー
黄色いキーホルダー
緑の街
飴色の天気雨
虹色信号機
頭の上に
黒い栗
落っこちて
わたしは飽きた

死んだような目
呆れた背中
無視する覚悟
謝る手の位置
嗄れた声
固まった顔
秋の風に
吹かれたら
わたしは飽きた

風の故郷

風の故郷

僕の部屋の前を
吹いていたすきま風が
突然なにかを思い出したらし
故郷に帰っていくのを見たよ
きっとほら
風も誰かを
愛したりするのだろうな

燦々と晴れた日
どこまでものびるまっすぐな道
メタセコイア並木が
遠くて近い歴史の数々を
おしえている

将来という
不安なひとつぶが
砂漠にある桜桃の実のように
ほんのり甘く
実ってほしい

僕の部屋の前を
吹いていたすきま風が
突然なにかを思い出したら

もっとみる
おけらのうた

おけらのうた

おけら おけら おけら
土の奥に棲む
ちいさなちいさないのち
おけら おけら おけら
ぼくのことなんて
きっと知らない
おけら おけら おけら
こんどうまれたら
もぐらにでもなれたらななんて

おけら おけら おけら
もぐるのもおよぐのもうたうのも
おけら おけら おけら
こんどはるがきたら
そしたらさ
いっしょに暮らすのも
とってもすてきさ

おけらよ おけらよ
土の中にいたら見つからないよ

もっとみる