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2023年宮城県公立高校入試解説【理科】

こんにちは。
今回は令和5 年度宮城県公立高校入試の理科についてです。
例のごとく論述や計算を中心に解説します。

問題はこちらから

第一問 小問集合です。

こういった大問で落としたくないですね。

1 生物の複合問題です。

スルメイカが例に挙がっています。
(1) えらで呼吸するのは魚類なので、ウのメダカが正解です。
(2) 一問一答です。背骨がなく、内臓が外套膜に包まれるという点で「軟体動物」に確定します。
(3) 消化器を食物が通る順番は口→ 胃 → 腸 →肛門となります。よって正解はイです。

2 気象の問題です。

(1) 「等圧線」が正解です。ここは暗記力ですね。
(2) 雨をもたらす停滞前線であることから2 つの気団はどちらも湿潤であることが考えられます。また、オホーツク海気団は寒冷、小笠原気団は温暖なので、組み合わせとしてはエの「オホーツク海気団湿潤・寒冷―小笠原気団 湿潤・温暖」が正解となります。
(3) 晴れる日が多くなることから日本に高気圧が位置していればよいことになります。高気圧が位置するのはイのみであり、残りはア:西高東低の冬型の気圧配置、ウ:閉塞前線が位置して雨が降る、エ:台風が位置となります。イが適切です。

3 原子と電気の問題です。

(1) 原子の性質として、イ:化学変化で分けられない、ウ:1 個の質量は種類により違う、エ:化学変化では種類が変化しないというものが挙げられるので、アが正解です。
(2)
① 陰極線は電子の移動を示します。電子はマイナスからプラスに移動するので電極B の方がプラス極であることが分かります。また、電子の移動の向きと電流の移動の向きは逆になっています。正解はa:イ、b:エとなります。
② 陰極線を挟むように電極を用意したとき、陰極線はプラス極のある方向に曲がり
ます。今回は電極D がプラス極で、その方向に陰極線が曲がるので、正解はエです。
③ この放射線はX 線です。推測でどうにかなるものではないので覚えるの必須です
ね。
(3) 原子核は陽子と中性子から構成されます。これを述べている選択肢はアのみです。
(4) 原子全体が電気を帯びていない理由の論述です。
1 個の陽子、電子の電気の大きさは同じです。しかし、陽子はプラス、電子はマイ
ナスの符号がつきます。1 個の陽子と1 個の電子のまとまりを考えると、電気の大
きさが打ち消し合って電気を帯びていないよう見做せます。また、中性子は電気をもっていません。ここで、原子には電子と陽子が同じ数あるのでやはり打ち消し合
います。よって理由はこうです。
「1 個の陽子と電子はそれぞれ同じ大きさで反対の符号の電気を帯びており、かつ
原子中に同じ個数ずつあるから。」

第二問 細胞を軸とした生物の問題です。

1 早速暗記物の問題です。維管束のうち水が通るのは道管です。
2 根を切り取って塩酸処理をします。細胞壁の成分を壊して1 つ1 つの細胞を離れやすくするので、正解はウです。
3 細胞の核を見るという趣旨では核を染色すれば良いので、酢酸オルセインを使えば良いです。よってエが正解です。
4 体細胞の分裂では一細胞内で染色体の個数が2 倍になってからそれが半分に分かれます。よって、両端には16 本の染色体が集まります。
5 論述です。根の先端の方が伸びる理由を観察IIの内容をもとにして述べます。
点b よりも点c の方で細胞分裂が活発です。細胞分裂が活発な部分は長さがより長くなります。また、細胞ひとつひとつも大きくなり得るので
「点b では細胞分裂は起きずひとつひとつの細胞が大きくなるだけである一方、点c では細胞分裂が起きてかつそれぞれの細胞が大きくなるから。」
と書くのが想定されます。

第三問 地層調査の問題です。

1 年代を知ることが出来るのは示準化石です。
2 凝灰岩は火山噴出物の堆積でできます。よって正解はイです。ア:礫岩、ウ:火成岩、エ:チャートです。
3 泥岩と砂岩の性質の違いです。泥岩は砂岩より構成する粒が小さいです。また、運搬作用があるのは河川の方なので、水によって運搬されやすいということがいえます。よって、正解はウです。
4
(1)
①A、B、C では砂岩の層が共通しています。地層が積み重なる順番は全部同じであることから、重ねて考えることが可能で、上から泥岩→Y→砂岩→X→礫岩の順になっていることが分かります。よって、堆積した年代が最も古いのは礫岩の層です。正解はア。
②A は50m、B とC は55m の位置にあります。ここで、凝灰岩X のある標高に関してC→A→B の順で高くなります。よって、低くなる方向に関して、正解はエの北西です。
(2) Y のある層に関して、B:53m、C:49m の位置にあります。ここから、エでは57m の位置、ウでは53m の位置、イでは51m の位置、アでは45m に位置にあることが推測されます。ちなみに、アは標高が45m なので正解はアです。

第四問 化学反応の問題です。

1 三種類の元素からできている物質はイのBa(OH)_2 のみです。あとは2 種類か4 種類の元素からなっています。
2 化学変化の起こる前後で物質全体の質量が変わらないことを「質量保存の法則」といいます。
3 実験結果をまとめます。
(1) 50g の36%塩酸に関して、塩化水素は50×0.36=18g 含まれていると考えられます。10%の塩酸を作りたいので、全体で180g になるようにすればいいわけです。用意されている塩酸中にも水は含まれており、塩化水素はもう追加されないので、水だけを追加すれば良いのです。追加する水の量に関して180-50=130g と計算できます。
(2) 実験II におけるグラフの描画です。この手の問題は書いてある表の内容をそのままグラフに写してはいけないことが有名です。作図はカットしますが
(気体の質量)=(塩酸の質量)+(粉末の質量)-(ビーカー内の物質の質量)
として求められ、粉末を1.00g、2.00g、3.00g と追加すると0.30g、0.60g、0.90gとなり、結局比例のグラフを描けます。
(3) サプリメントに含まれるカルシウムの質量を求めます。
炭酸カルシウム1.00g につき、0.40g のカルシウムが含まれているとします。また、炭酸カルシウム1.00g につき0.40g の二酸化炭素が出ていきます。サプリメントに関しては1.00g につき0.30g の二酸化炭素が出ていくことが分かっており、炭酸カルシウム換算だと0.75g 分であることが考察されます。カルシウムは炭酸カルシウムの質量の4 割で、0.40×0.75=0.30g と書けます。ゆえにサプリメント中のカルシウムの割合は30%です。

第五問

1 重力は当たり前のように下向きにはたらくので、正解はウです。
2
① 小球は重力の影響を受けて速さが一定の割合で増加します。正解はイです。
②レールの傾きを大きくすると物体の速さが変化する割合は大きくなります。これは表から分かります。正解はウです。
3 小球は0.40s~0.50s の時間で等速直線運動を行います。この0.1 秒での移動距離は78.4-54.4=24.0cm となるから、小球b の速さは240cm/s となります。
4 運動エネルギーが速さの2 乗に比例、位置エネルギー+運動エネルギーの和が保存するので、運動エネルギーが2 乗に比例しているアのグラフが正解です。
5 小球b が小球a より先にレールの右端に到着した理由の問題です。
最初の位置エネルギーは両方で同じ大きさですが、b の方が運動エネルギーに変わりきるまでの時間が早いです。よって、レールの左端からの距離が同じところを取った場合、bの方がa よりも速さが速くなります。したがって記述はこうです。
「最初の位置エネルギーは小球a と小球b で同じ大きさだが、小球b の方が低い位置を進み、位置エネルギーから移り変わった運動エネルギーが小球a よりも大きく、結果速さが大きかったから。」
となります。

今回はここまでです。
お疲れさまでした。



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