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詩集「詩のようなものたち」4

詩集「詩のようなものたち」4

気温の不安定さによる揺らぎでしょうか。
先の金曜日から、風邪をひいてしまいまして、咳と喉の痛み、発熱も微熱でしたが、頭痛や寒気がひどく動きが鈍っていました。

そして、クライマックスは日曜日。
腹痛と下痢で小1時間ほどもトイレの住人と化しました…ううう😢つ、辛かった。
このデトックス?で、多少は楽になったものの、喉の痛みが続いてまして、のど飴とお友達になり、今日に至ります。

おかげで、拙著『僕

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ミラクル (散文詩)

ミラクル (散文詩)

12月、木枯しココアを飲み干して。

スフィンクスが砂漠を海に変えて。
エジプトは海底にも文明を築いて。

パピルスにココアの染みができて。

過去なのか、未来なのか、
私には分からない。

現在とは?

範囲で示されることなき
ウユニ塩湖の中に落ちた
一滴の時間。

ミラクルの屑がそこら中に転がって、
風に吹き流されていく。

鯉のぼりが青空で溺れている。
街は排水溝に吸い込まれ、
マンホールか

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つながっていく

つながっていく

つながっていく
あなたのふるさと
わたしのふるさと

ちいさな指輪ひとつで
ちいさなえんで
むすばれたあかいあかい
血の色をした糸のように

つながっていく
あなたのこころ
わたしのこころ

あたたかなてのひらで
あたたかな息で
むすばれたつよいつよい
きずなはもうほどけない

つながっていく
あなたのからだ
わたしのからだ

つながっていく
あなたのふるさと
わたしのふるさと

つながっていく

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マッチ箱 (詩のようなもの)

マッチ箱 (詩のようなもの)

マッチ箱の角が潰れている
北側の窓は全部閉めたのに
湿気を吸って歪んだようで

あなたの頬が桃みたいに可愛い
懐かしい色のタートルネックに
うずめた顎はふた重になって

潰れたマッチ箱から出した
2本のマッチは時化ていて
なかなか火がともらないね

お線香の煙を吸い込んで
むせてしまったあの年から
あの子はもう来なくなった

潰れたマッチ箱にはまだ
時化たまま残っている
マッチが数本入ってて

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嵐は去らず 【詩のようなもの】

嵐は去らず 【詩のようなもの】

心の海が荒れ狂っている
不安の高波が内側を叩く

神でない自分が、
何も解決できないまま

悶え、喘ぐ、
グロテスクな“闇”は
憐れみを売ろうとする
物乞いのように

救済の義務まで
叫ぼうとしている

我ながら、五月蝿い…

…そう、

言葉が

悪さをしようと、

ひどく

暴れて。

或いは、

思考が
鉛のように、

疲労が
碇のように、

すべてを

ここに

留めようとして。

気がつ

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【書き初め20字小説】 「髑髏杯」

【書き初め20字小説】 「髑髏杯」

天下布武!
信長の髑髏杯を呷り、僕は嗤う。

本投稿は単独の作品ですが、下記(2024年1月投稿分)の続編としても、お読みいただけます。↓

この度は、企画に参加させていただきました。
よろしくお願いいたします。

【書き初め20字小説】 「かく恋慕」

【書き初め20字小説】 「かく恋慕」

…隠れた?

まだ。

なぜ?

…君に捕まるため。

この度は企画に参加させていただきました。よろしくお願いいたします。

最後の日(2篇) 《詩のようなもの》

最後の日(2篇) 《詩のようなもの》

 1

最後の日。

あなたが生まれていない、最後の日

最後の日。

あなたに絵本を読んであげた、最後の日

最後の日。

あなたが学校に通っていた、最後の日

最後の日。

あなたがまだ独りだった、最後の日

最後の日。

私があなたを見つめた、最後の日

すべてが始まりの前触れ
しあわせを感じていた日
私の心は希望に満ちていた

最後の日。

 2

今日は、最後の日。

私は、私の描きたい

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短歌 (番外編) 〜恋の暮れ〜

短歌 (番外編) 〜恋の暮れ〜

去りし恋
囁きかける
セピア色
写真の中に
のこる
ほほえみ

 さようなら、
という
その声は
優しくて
すべてがあふれ
 出してくる、
…夜…

メリークリスマス 【詩のようなもの】

メリークリスマス 【詩のようなもの】

バイト帰りに立ち寄った
欲しがっていた玩具の店
弟はもうすぐ6歳になる
まだまだガキンチョだな

僕はもうすぐ17歳になる
歳の離れた弟が愛おしい

お前はヒーローに焦がれ
変身グッズを欲しがって

ボクがお兄ちゃんを助ける!

なんて、頼もしいことを
言ってくれるから、僕は
助けてもらいたくなって

ついついサンタの真似事を
したくなってしまったんだ

そんな

大人になったつもりでいる
僕もま

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ひゅるる 《詩のようなもの》

ひゅるる 《詩のようなもの》

昨夜の風は、木の葉を見事に散らし尽くした。

ひゅるる。

口笛みたいな声を出して、
窓に体当たりしてきたね。

ひゅるる。
ひゅるる。

お陰で、今朝は早くから掃き掃除に駆り出され、

ひゅるる。

くしゃみが止まらなくなってしまったよ。

ひゅるる。
ひゅるる。

家に帰ったら、スープが待っているけれど、
休日に早起きさせられた妻はおかんむりで、
ちょっと帰るのが憂鬱だったりするわけだ。

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モザイク 

モザイク 

遥かなる太古より
存在する「未来」は
まだ東の空にある

動いてないようでもあり
動いているようでもあり

それは微かに震える
風を感じる君の前髪

怯えているのかい?

僕は怯えているよ

モザイク画のように
美しい世界などない

僕らが生きているのは
無限に不安な泥沼の中

信じてはもらえない
信じてあげられない

不穏な心のモザイク
広がる闇のモザイク

死への願いが嵩を増し
愉快な人間が世

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五十音短歌「き」

五十音短歌「き」

昨日今日過ぎゆく刻の蝋燭よ聖夜に捧ぐ命の炎

気がつけばおせちのチラシ舞い込んで郵便受けにも来たる新年

君の横ほんわり浮かぶ白い息冬将軍の兵に勝れり

早いものでもう12月。
今回は冬の訪れと年末に寄せてみました。

次回は「く」です。
ちょっとした空き時間にでもご覧いただければ
幸いです。

黄色い壁 ーたどりつく者ー

黄色い壁 ーたどりつく者ー

トンネルのようになっている
黄色い壁の向こうに
あなたの家の扉が見える

遠いね
遠いよ
遠いな

見えているのにね

遠いね
遠いよ
遠いな

男が1人横道に逸れていく
あなたにたどりつかない
永遠にたどりつかない者

黄色い壁はわたしの横を
囲んでいる
あなたの家に向かうわたしの横を
囲んでいる

日向に立つあなたの家へと導く

なぜ?

なぜあなたは日向にいるの?

黄色い壁の作る日陰の中

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