記事一覧
読んだ本の紹介 vol.1
私はよく本(特に専門書)を読むので,完読した本を少しずつ紹介したいと思います!!
vol.1で紹介する本は,
山田 剛史・村井 潤一郎(2004). よくわかる心理統計 ミネルヴァ書房
です。
私が学部に入学する際にまず買った本ですね。特に文系で数学を不得手とする学生にとって,非常に分かりやすい心理統計学の入門書です。特に確率統計に関する記述に紙面を多く割いており,統計をイメージや視覚で理解
【思弁:この宇宙の片隅で】vol.1
私は2023年8~9月,慢性的な希死念慮に深く悩み苦しんでいた。人生最大の危機であった。今になって,その時何を考えて,そしてどのようなプロセスでここまで来たのか,言語化してみたい。
私がなぜ希死念慮を抱いていたのか。その理由は「絶望」であった。絶望と言っても,何か要因があるようなものの類ではなく,実存的な絶望であった。
私のこれまでの人生は,常に,いくばくか先鋭化されていた。例えば,「受験のために
再演から見るトラウマの回復
トラウマにおける再演の定義
トラウマによる虐待環境の再現
再演性を帯びた広範な事象
トラウマの回復のスタート地点- ある事象を概念化できない時期について
トラウマにおける再演(エナクメント)について考えている。トラウマにおける再演を自分なりに定義してみると,「個人や社会のトラウマに起因して,ある事象,現象がトラウマタイズ(トラウマの様相を帯びること)され,意識的あるいは無意識に再度トラウ
自殺,自死に関する私論
まず「自殺,自死」という言葉に違和感がある。というのも,私の感覚として,自殺は「I am killing myself.(私が自分を殺している)」というより「Something is killing myself(何かが私を殺している)」という感覚に近い。Somethingの中には,Past(過去)やEnvironments(場)やTraumaなどがあると思う。自殺には必ずプロセスがあるのに,その
もっとみる境界性パーソナリティ症から考える解離
境界性パーソナリティ障害患者は自傷行為における痛覚閾値上昇が見られるという研究がある。これは自傷行為そのものによる生理学的な現象だが、恐らく解離することによる無痛化も起きていると思う。 このことを鑑みると、自傷行為をやめるという約束を結ぶことがいかにリスクがあるか考える必要がある。解離という、ある意味、やむなく無自覚的にとった対処方略に対して、自傷行為はやめなさいと言うことがいかに理にかなっていな
もっとみる臨床心理学における学派論争への私論
臨床心理学とその学派論争において重要なテーマの一つに「人間性への疑義(ここではあえて人間性の否定とまでは言わない)」がある。特に,精神分析家間,あるいは行動療法に対して,1900年代,長らく論争が行われたことは事実である。特に有名なのは,クラインvsアンナ・フロイトの論争だ。この論争は,非常に感情的な白熱した論争に至った。臨床心理における学派論争の大きな特徴は,一般科学(数学・物理など)と違って,
もっとみる大学院入試への必携テキスト集
・はじめに
以下に記す本はあくまで心理系大学院入試に受かるために厳選した本です。以下に掲げる本を読んだだけでも受かるかもしれませんが,もっと大事なことは,日々の授業やより詳しい専門書を読む経験による基礎~臨床にわたるエッセンスと「考える力」の獲得です。心理系大学院に受かることだけを目標にして暗記だけするのは非常にもったいない。ぜひ心理の世界を楽しみながら,勉強していきましょう。
・大学院入試まで