マガジンのカバー画像

加速主義

248
運営しているクリエイター

2019年12月の記事一覧

令和元年の振り返り

令和元年の振り返り

2019年ももうすぐ終わりなのでnoteでの活動を振り返る。たくさんの人にスキ、お買い上げしていただき感謝感激です。ありがとうございました。反響の多かったもの、個人的に思い入れのあるものを中心に取り上げます。

1.反響の最も大きかった記事令和元年ということで自分にとって平成とはなんだったかを子供たちへの想いもこめて書いたこの記事はたくさんの人に読んでいただけたようである。天安門事件のこともいれて

もっとみる
井上智洋『MMT 現代貨幣理論とはなにか』読書メモ

井上智洋『MMT 現代貨幣理論とはなにか』読書メモ

主流派経済学よりの立場からMMTを解説した本。薄くて読みやすいです。

須藤さんのおっしゃるとおり簡潔なのもいい。

1から4章はMMTの事実説明的な部分の解説。ひっかかるのは1章でデフレ脱却を強調していること。MMTにおいてはデフレ脱却は直接的な目標ではない。目標は完全雇用である。完全雇用が実現すれば結果的にインフレにはなるだろうけど。この点以外はおおむね納得できる内容である。

2章の租税貨幣

もっとみる
公務員が好きじゃなかったころの話

公務員が好きじゃなかったころの話

私は20代の頃はネオリベ野郎で公務員が好きではなかった。嫌いだったと言ってもいいだろう。しかし30代半ばには、ネオリベラリズムを棄教して、反緊縮財政を支持するようになった。その過程で、本邦は公務員の数が少ないことを知るようになり、彼らへの嫌悪感はいつの間にかなくなっていた。公務員の数についてを詳しく知りたい方は前田健太郎氏の著作を読まれるとよいだろう。

年末になると公務員が嫌いだったころにおこっ

もっとみる
天安門事件のこと

天安門事件のこと

天安門事件は私が小学校高学年のときにおこった。平成の始まりを印象づける大きなイベントであったはずだが、それに続いた東側諸国の連鎖的な倒壊であったり、中国経済の大躍進もあって関心を失ってしまっていた。しかし最近の香港の騒動だとか、下記のnoteをみてもう少し知識を仕入れてみようかと思ったのである。

まずは紹介されている安田峰俊と楊逸の対談を読んでみた。普通に面白かった。

楊逸  安田さんは『八九

もっとみる

飯山陽『イスラム2.0』読書メモと久々のアンチフェミ論議

最近Twitterで飛ばしまくりのイスラム思想研究者飯山陽さんの新著『イスラム2.0』を読んだ。なかなか面白かった。

イスラム2.0とは、インターネットにコーランやハディースなどの原典に容易にアクセスできるようになったため、イスラム教徒がラディカルになっている現象のことである。そのため世俗権力に阿って、原典を恣意的に解釈するイスラム法学者など宗教エリートが批判にさらされるようになっている。原典を

もっとみる
小野塚知二編『第一次世界大戦開戦原因の再検討』を読んだ...戦争を望んだのはだれなのか

小野塚知二編『第一次世界大戦開戦原因の再検討』を読んだ...戦争を望んだのはだれなのか

私は恥ずかしながら第一次世界大戦については造詣が浅く、なぜオーストラリア=ハンガリーとセルビアの局地的な諍いがあんな大惨事になったのか下のやる夫スレ以上の知識はもちあわせていない。

しかし最近は20世紀転換期の経済史について関心があり、第一次世界大戦についてもある程度は知っておかないといけないのである。特に、国際分業、相互依存が進んでいた時代にどうしてみんなで総力戦をするはめになったかについて理

もっとみる
井上智洋『純粋機械化経済』読書ノート

井上智洋『純粋機械化経済』読書ノート

井上智洋氏は経済学者であるが、エンジニアの経験もありITについても積極的に言及することで有名である。本書でもそこが遺憾なく発揮されており、AIやIOTが社会のどのような変化をもたらすかについて広い視野で概説している。

第1章は現在進行中の第3次産業革命とまもなくやってくる第4次産業革命についての解説である。そして第4次産業革命は一部の人間の頭脳が生産性を規定するような頭脳資本主義をもたらし、やが

もっとみる