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「中規模」を有効活用して「中庸」に

非正規雇用の書店員です。

中規模のチェーン店で働いています。

メディアに紹介される本屋の多くは、小規模ながら斬新なチョイスで目の肥えたお客さんを唸らせる「独立系」か、複数のフロアに売り場を展開していて何でも置いてそうな「大型店」です。

実のところ、私も休日はそういうお店へ足を運ぶことが多いです。「独立系」では予期せぬ出会いに恵まれるし「大型店」に行けば欲しい本が高確率で手に入るから。

一方、休み明けに出勤して帰りに本を買う際は「いちばん使い勝手がいいのは中規模店かな」とも感じます。検索機を備えたワンフロア店なら探している本のある棚をすぐ見つけられるし、独立系ではあまり扱っていない週刊誌やコミック、地図、学習参考書、資格書、辞書なども置いている。

パッと見で判断すると、私の職場はどこにでもありそうなチェーン店です。スペース的にも経済的にも大量の在庫を抱えられないし、尖った選書フェアも開催していない。カフェやラウンジは併設せず、サイン会やトークイベントとも無縁です。

だからといって何もしていないわけではない。何度かnoteに書いていますが「一冊の棚差し」に五分の魂を込めています。

もしワンフロアのチェーン書店へ足を運んで「他と変わらない」と思ったら、目立つ場所に展開している平積みや面陳ではなく、ぜひ各エリアの棚に差された本たちへ目を向けてみてください。気になる一冊との邂逅があるかもしれません。

独立系と大型店。極端なものはわかりやすい。でも両者の間で適切なバランスをその都度探り、各々のいいところだけを掬い上げていくのが人生の本道ではないかと感じます。そんないわば「中庸」の書店こそ、本好きに限らぬ多くの人が求める空間なのかもしれない。

ないことに絶望するのではなく、手持ちの武器をいかに有効活用するか? 「中規模店ならではの中庸」を掘り下げていきます。

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