もっと「本の専門店」としての選書を
なるほど。
コンビニ業界が書店併設に力を入れているわけではなく、ローソン独自の戦略みたいですね。たしかに全体的な流れは、むしろ雑誌コーナーが縮小していると感じます。
↑によると、いまのところ書店併設型は28店に留まりますが、令和7年(2025年)2月末までに100店に拡大する方針とのこと。素晴らしい。ぜひ職場最寄りのローソンもお願いします。
書店員がこんなことを書くのはおかしいですか? でも考えてみてください。近くのコンビニに大きな書籍コーナーができたら、差別化を図らないと売り上げが厳しくなります。そこで専門店の矜持に火がつき、もっと選書に力を入れる方針に変わると期待しているのです。
とにかく職場の棚が面白くない。書店がメインコンテンツである本の吟味を軽んずるのはおかしい。新刊案内だけではなく、埋もれた既刊により目を向けないと。激務と人手不足を言い訳にしたくないので、隙間時間に取り組んでいます。
最近注文した本をいくつか。
「夜と霧」の著者であるフランクルの講演集。キーワードは「夜と霧」と同じく「人生に何かを期待するのではなく、人生が自分に何を期待しているかを考える」でしょうか。「どうせ何やってもムダ」とニヒリズムに囚われて自暴自棄へ陥る前に、ぜひ手に取ってほしい。
今年で100年。歴史を紐解き、重大な過ちを犯したメカニズムに触れ、同じ事態を招くことを阻止する意志を己のうちに養う。正義感や愛国心が取り返しのつかない悲劇を招くケースもあると胸に刻む。これだけでもだいぶ違う気がします。
2011年刊行。心に火がつく真の自己啓発書です。世の中を良くしたければ、まず個々の人間が良くなる。そしてその人たちがゆるやかな繋がりを形成し、世界のあちこちに小さな変化を起こす。そんな「ゲリラ戦」を勧める一冊です。
エッセンシャル版と銘打った文庫も出ています。無論そちらの方が安い。しかしいずれも読了したうえで断言します。本を読み慣れていない人はともかく、愛書家を自負する若者や社会経験を積んだ大人はこちらを選ぶべし。本当に大事なことはこちらに記されています。あたかも昨今の「ファスト」傾向に対し、10年以上前から警鐘を鳴らしていたかのように。
どれもおそらくコンビニには並びません。そういう名著を書店員が紹介しなかったら、いったい誰が紹介するのか?
本日も「本の専門店」でお待ちしています。