いま紹介したい「佐々涼子さん」の名著
お会いしたことはありません。
著書の内容や文体から「この人は熱いし信用できる」「末端が日々接する理不尽の実態をわかっている書き手だ」と感じていました。実際、読む前と後で世の中や人間(己も含む)に対する見方が一変する名著ばかりです。
最も印象深いのは、2014年に発売された↓でしょうか。
出版社は早川書房。2017年に文庫版も出ています。
初読時に読書メーターへ記したレビューを紹介させてください。
2017年の3月11日に二度目の読了をしました。まったくの偶然。本を読み続けていると、しばしばこういう現象が起きます。その時に書いたレビューがこちら。
電子書籍を否定はしません。私もお世話になっています。でもほしい情報を得て終わりではなく、読むことで「問い」をもらい、何らかの「答え」を己の頭で考えていく読書には紙の本が適しています。さらに手触りや重み、匂いなどを楽しめるし、美術品としての要素も備えている。
もしペーパーレスが当たり前になり、すべての書籍が電子で一本化されたら? べつに困らないという人もいるでしょう。そっちの方が多数派かもしれない。私は困ります。働き場がなくなるから? それもある。しかし最大の懸念はプルースト「失われた時を求めて」やメルヴィル「白鯨」といった長くて難解な古典文学が失われてしまうのでは、ということ。
少なくとも私は、あの内容とボリュームをPCやタブレット、スマホでは読み通せません。ああいう名作を咀嚼し、自家薬籠中のものとするにはどうしても紙の本が欠かせない。
ここ数年、新聞やネットニュースで「本の文化を守れ」という記事をよく目にします。ありがたい。ただ出版社や取次、書店に関する話がほとんどで、製紙工場で働く人へ目を向けたものは少ないような(かくいう私もこのnoteを書いていて気づいたのですが)。イチ書店員として、いまこそ「紙つなげ!」を推すタイミングだと感じました。
これからも読み続けます。売り続けます。佐々さん、ありがとうございました。