記憶芽吹く 中年の「今」に見つけたもの
一枚の羽はあったが、背中の翼は折れており、
あの高い壁を超えることは難しいように思えた。
手のひら大のボトルに一口の水はあったが、
それ与えるべき種が手元に見つからなかった。
高校から数年引きこもった状態に近かった私は、
「なにくそ」と思い、遅咲きの大学生活を送った。
研究生活も20代後半の就職活動も大変だったが、
なんとか社会人になれた矢先のことだった。
大きな環境変化に耐えるコンディションを整えきれなかった。
製品の研究開発をして大きなことを成そうと思った時、
大きな体