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シン・短歌レッスン

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記事一覧

シン・短歌レッスン188

シン・短歌レッスン188



2000年代──「かけがえのない私」と失われた二十年

大野道夫『つぶやく現代の短歌史(1985-2021) 「口語化」する短歌の言葉と心を読みとく』から。

斎藤斎藤
口語短歌と諧謔性。歌名からしてそんな感じだが、ときどき読む批評とかは鋭いところを突いている。前衛短歌が継承されているとしたら彼の短歌かもしれない。

県道というのがポイントか。地方性はどことなく都会にならない僻みみたいもの。「

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シン・短歌レッスン187

シン・短歌レッスン187



1990年代──「わがままな私」とバブル経済の崩壊

大野道夫『つぶやく現代の短歌史(1985-2021) 「口語化」する短歌の言葉と心を読みとく』から。

穂村弘

短歌で一番親しみを感じるのは穂村弘か。

不完全な言葉「ゆひら」で了解できる男女の間。今読むとそれは内輪なんだが、『シンジケート』という歌集がアンチ俵万智の世界を吹っ飛ばす破壊力を持った言葉のように感じた。

言葉は排泄物か?そ

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シン・短歌レッスン186

シン・短歌レッスン186


NHK短歌

安田登は能楽師だけれども和歌より漢詩好きのようで面白かった。あと安田登の独自な解釈は俵万智の現実的解釈よりも深いけど、そこまで読むかみたいな。

この歌は「飛び石」で下を向きながら不安な仕草から別れ話をしに行くつもりだったのに、「抱きとめられに」であなたに抱かれるという逆の展開になりそして三月(別れの季節)に向かっていくと歌だという。最初徐々に歩いているのだが、あなたが見えたとたん

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シン・短歌レッスン185

シン・短歌レッスン185



1930年代以前生まれの歌人

大野道夫『つぶやく現代の短歌史(1985-2021) 「口語化」する短歌の言葉と心を読みとく』から。短歌史は篠弘を読んだのがけっこう面白かった。

それで短歌史は「前衛短歌」(60・70年代)ぐらいまでしか語られず俵万智世代(80年代)以降を見ていこうという本なのだが、こういう本を読みたかった。俵万智以後なんかそれまでの短歌の文法とは違っていると感じるのだが、そ

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1月の短歌

1月の短歌

AIに選評してもらった。特選1に佳作4

佳作1: ニベア塗る芳一の肌潤って和尚と君の悪霊退治

批評:

芳一と和尚という組み合わせがユニークで、ニベアという現代的なアイテムとの対比が面白い。

「悪霊退治」という古典的なイメージと、現代的なアイテムや人物の組み合わせが、読者の想像力を掻き立てる。

言葉の響きが良く、リズム感も心地よい。

佳作2: 恋歌と踊れないダンス虐殺の夜蝶は鳥になり羽ば

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シン・短歌レッスン184

シン・短歌レッスン184


NHK短歌

詩になる瞬間。一言の言葉で日常世界を詩的に変える言葉の発見。その意味でのキーポイントとしての「鍵」なのか?

竹中優子だけどよくわからん短歌だ。なんで扇風機の羽が繁殖期と結びつくんだ。「ごとき」は直喩で、呼びかけの「よ」か?「ひかり」はよく使われる詩的言語だと思うが、生物的比喩で非生物を語るということだった。扇風機の羽の意味がよくわからない。天使の羽に見えたとか?無機物なものに生命

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ノスタルジーだけの短歌は後味が悪い

ノスタルジーだけの短歌は後味が悪い

『昭和遠近: 短歌でたどる戦後の昭和』島田修三

『短歌で読む 昭和感情史 』と同時に借りたのだが、感情というのが単なるノスタルジーに伍するとあまり面白くないと感じる。その時代のリアリティよりも昔懐かしいという歌が多くて、途中で飽きてきた。戦時のリアリティを求めるものではないが、何か今の生活が安定して上で、昔の貧しさを懐かしむようなそんな昭和のアンソロジーのように感じる。その時代に作られた短歌はけ

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シン・短歌レッスン183

シン・短歌レッスン183

 

歌集『『老人ホームで死ぬほどモテたい』上坂あゆ美

『昭和遠近短歌でたどる戦後の昭和』島田修三

原爆

火の見櫓

これだけでは大空襲とはわからんな。夕焼の情景かと思ってしまう。

物売り

ノスタルジー短歌だった。

「三種の神器」

戦後の三種の神器とは、昭和30年代初期に普及した白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫です。その次が車、クーラー、カラーテレビとなっていく高度成長期。今はなん

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昭和萬葉集の短歌

昭和萬葉集の短歌

『短歌で読む 昭和感情史 』菅野匡夫(平凡社新書)

『昭和萬葉集』の全集を記念しての1980年に鶴見和子のスピーチから「昭和感情史」という言葉が出た。

『昭和萬葉集』全集の完成の席(1980年)で鶴見和子のスピーチで社会史・経済史・哲学史のいわゆる公の文章から現れて来ない個人の感情という側面から短歌を読み解こうとするものである。叙情(感情)性は同調圧力となってそれが短歌の定型なので、日本人の保

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沼津発ガールズムービーのような短歌

沼津発ガールズムービーのような短歌

『老人ホームで死ぬほどモテたい』上坂あゆ美

タイトルから中年過ぎの歌人かと思っていたら30代の若手歌人だった。『うたわない女はいない』働く三十六歌仙で気になったから借りたのだがそのときの短歌も「いつもありがとう青汁 健やかな自傷行為をしてからねむる」というわかりやすい歌だと思う。

穂村弘や東直子から影響を受けたと思わせるセンスは、その選者の元で投稿していたのだという。沼津という地方都市が16号

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シン・短歌レッスン182

シン・短歌レッスン182

 

NHK短歌

「おはよう」は声に出すけど「おやすみ」は静かに言うというその差をどう表現するか?なんか今日の枡野浩一の短歌いいじゃないか?

一日の中で何かを諦めた時に眠るという。今日は「シン・短歌レッスン」を上げるまで眠れない。

改悪コーナ

改悪例は言葉ではなく絵になるが上の歌は言葉でしか表現できない。フレーズがだれでも真似したくなるような言葉にする。

四月から選者が変わるんだ。

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2023年の短歌を振り返る

2023年の短歌を振り返る

『短歌研究 2023年 12月号』

百年の視点で見る「現代短歌史」

【拡大特集】「百年の視点」佐佐木幸綱・三枝昻之対談・百年の視点で見る「現代短歌史」。『短歌研究』が創刊九十二年になるのでヨイショして、その時代の流れとしては近代短歌が始まって「アララギ」のいち抜けだったのだが、それだけでは「短歌史」は見えてこないという。三枝昻之『佐佐木信綱と短歌の百年』は「アララギ」以外にも注目した「短歌史」

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シン・短歌レッスン181

シン・短歌レッスン181

 

NHK短歌

ゲストが町田康で期待してしま。そう言えば歌集だしたんだよな。

町田康がグラサンしたヤクザで大森静佳を恐喝しているような構図でやりにくそうだった。尾崎世界観は一応先輩作家でもありミュージシャンだから一目置いているようだ。いつもはじわじわやドキッはもっと出るのだがあまり出なかったな。大森静佳が三席上げた歌はまったく町田康好みじゃなかったようだ。

「自在自由」という言い方が仏教っ

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シン・短歌レッスン180

シン・短歌レッスン180

 

NHK短歌

日記は若い時からよく書いていたが、若いときは忘却するために日記を書いていたような。今は健忘録になっているが、若いときはこんなに詳しく書いてなかったと思った。日付のない日記や観念だけの日記とか具体的な行動は現在の方が書き残している。まあどうでもいいような日記ではあるが、俳句や短歌と一緒か?今日の一首。

一条天皇の辞世の歌なのだが、行成と道長の日記では下の句が違うという。実際に臨

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