蒼月海里

小説家兼シナリオライター。仙台生まれ千葉育ちの元書店員。2014年08月デビュー。 『咎人の刻印』『幽落町おばけ駄菓子屋』『幻想古書店で珈琲を』『稲荷書店きつね堂』『水晶庭園の少年たち』『怪談喫茶ニライカナイ』『怪談物件マヨイガ』など。

蒼月海里

小説家兼シナリオライター。仙台生まれ千葉育ちの元書店員。2014年08月デビュー。 『咎人の刻印』『幽落町おばけ駄菓子屋』『幻想古書店で珈琲を』『稲荷書店きつね堂』『水晶庭園の少年たち』『怪談喫茶ニライカナイ』『怪談物件マヨイガ』など。

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    カウントダウン式連載小説。 見知らぬ浜辺で目が覚めた少女の物語。 機能停止まであとXX日。

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    蒼月海里のきまぐれ書き下ろし小説。

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蒼月海里の著作(2024/11/15更新)

■新刊刊行『怪談売りは笑う』(2024/10/25発売) ■雑誌連載『Newtype11月号』より小説連載開始(2024/10/10開始) ■イベント参加予定文学フリマ東京39(2024/12/1) ◆著書一覧◆■星屑鉄道の鉱石カフェ(ことのは文庫)(2024年08月)お店/鉱物/ファンタジー/ソロモン72柱 ■海風デリバリー(実業之日本社文庫GROW)(2024年06月)青春/お仕事/海 ■咎人の刻印シリーズ(小学館文庫キャラブン!)吸血鬼/殺人鬼/ダークファンタ

    • 文フリ39新刊『式守九十九の人間観察』

      1品目の出張本屋さん文学フリマ東京39に参加することになった。 サークル名は極めてシンプルに『蒼月書店』。 本は新刊一冊である。とんだ本屋さんだ。 因みに、商業既刊本の販売予定はない。会計処理に自信がないためだ。 見本は持って行くと思うので、その場でネット通販をするかお取り置きをして書店さんでお迎えして欲しい。会場で著者本人から喜ばれるという特典が漏れなくついてくる。 著者は元書店員なので、本を売るだけが本屋さんではないと知っている。 なので、書店を名乗るのもおこがましい

      • 文学フリマ東京39に参加します!!!

        小説家、装画とデザインもやる。出版不況と呼ばれて久しい中、「文学フリマ」という即売会イベントが盛況となっている。 今までは東京流通センターを会場としていたのだが、12月1日の「文学フリマ39」からは東京ビッグサイトに変更となる。 ビッグサイトと言えば、数々の同人誌即売会イベントで利用される巨大イベントホールだ。40は更に会場を拡大させるとのことで、飛ぶ鳥を落とす勢いである。 さて、この東京ビッグサイトに移行した記念すべき第一回の「文学フリマ39」に、蒼月海里が参加することに

        • 『怪談売りは笑う』発売~同人アンソロジーから商業出版へ

          角川ホラー文庫さんからデビューして10周年となった今年、同レーベルから20冊目の本を出すこととなった。 あの黒い背表紙が20冊である。 ここまで来られたのは、皆さまの支えがあってのことなので、心より感謝を申し上げたい。 著者と「ホラー」の遍歴角川ホラー文庫で作家デビューしているとは言え、私は公募落選拾い上げの上、当時では珍しい「ほっこりホラー」でのデビューとなった。 著者本人としては、怖く書いたつもりだったのだが、いかんせん怖いのが苦手(だが妖怪と怪談は好き)ゆえに、ホラー

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          「鉱物物語茶会」とおすすめの鉱物本

          「鉱物物語茶会」を終えて憧れの鉱物Barさんにて、『鉱物物語茶会』のゲストとして登壇した。 『水晶庭園の少年たち 翡翠の海』で解説をご依頼させて頂き、そのご縁が繋がっての流れとなる。 因みに、店主であるフジイキョウコさん著『鉱物アソビ 暮らしのなかで愛でる鉱物の愉しみ方』(スペースシャワーブックス刊)と出会ったのは、私が鉱物初心者だった頃のことだ。 写真も添えられた文章も美しく、こんな素敵な鉱物の楽しみ方があるのかと驚かされた。 それ以来、密かに憧れを抱いていたので、トーク

          「鉱物物語茶会」とおすすめの鉱物本

          『星屑鉄道の鉱石カフェ』発売!

          今夏、ことのは文庫(マイクロマガジン社)さんより、『星屑鉄道の鉱石カフェ』が発売した。 ことのは文庫さんは装丁が素敵で、Webの宣伝がとてもしっかりしているという印象だったので、是非ともお邪魔できればと思っていたのだが、幸いにもご縁が繋がって刊行に至った次第だ。 装画担当は、流行の最前線で活躍しているイラストレーターの一人、うごんば先生だ。 メインキャラの三柱をとても美しくオシャレに描いてくださって、もはや頭が上がらない。 店内の雰囲気も良すぎる。著者も「ここに行きたい~」

          『星屑鉄道の鉱石カフェ』発売!

          この浜辺でキミを待つ。【11日目】

           燦々と降り注ぐ太陽の光が、シロの視界を照らした。 「うう……」 「目が覚めたか。再起動できてよかったよ」  聞き覚えがある低い女性の声が聞こえる。シロのすぐそばには、白衣をまとった壮年の女性が座っていた。 「わ、私、死んじゃったはずじゃあ……!」  シロが飛び起きると、女性は苦笑した。 「そんな大げさなものじゃない。燃料不足でスリープ状態になっただけだ。燃料を詰めて再起動したし、腕も繋いでおいたぞ」  女性に言われ、シロは右腕を見た。ひしゃげた痕は残っているものの、腕はし

          この浜辺でキミを待つ。【11日目】

          この浜辺でキミを待つ。【10日目】

           声の主は『ハカセ』といった。  ハカセは明日、シロが目覚めた浜にやってくるという。  つまり、ハカセはシロの境遇を知っているということだ。そうでなければ、シロが浜で目覚めたことも、その浜がどこなのかもわからないだろう。 「私のことがわかる人が来る……!」  シロはそのことが嬉しかった。  だが、それ以上に、話し相手が現れることが嬉しかった。  アクアが沈黙してから、シロは孤独を味わっていた。どんなに空が晴れていても、心の中はずっと暗雲が渦巻いていたのだ。 「ハカセを歓迎

          この浜辺でキミを待つ。【10日目】

          この浜辺でキミを待つ。【9日目】

           翌日は快晴だった。  雲一つない青空で、開けた窓から入り込む潮風は爽やかであった。  日差しが射し込む中、アクアの骸は横たわったままだった。毛布を掛けられ、宝物を周りに置かれたままだ。 「これから、どうしようかな」  今までは、アクアとなんとなく目的を決めていた。しかし、今はそれすらできない。  アクアと出会う前はどうしていただろうか。 ひとりだった頃が、ひどく遠く感じられた。 「この島に住んでいる人、探してみようかな。でも、みんな眠っているかも……」  結晶に覆われてい

          この浜辺でキミを待つ。【9日目】

          この浜辺でキミを待つ。【8日目】

           シロは海岸線を歩いていた。  行きは二つだった足跡だが、帰りは一つだった。  アクアのつけたクローラーの跡は、波と潮風ですっかり消えていた。  アクアのボディを抱え、ショットガンを背負い、シロはただひたすら歩を進めた。 「どうすればいいんだろう」  シロは目的を見失っていた。  島に何かがあったらしいということ。  地下室で眠っている人。突然変異したとしか思えない巨大なモンハナシャコ。そして、彼らがまとう不思議な結晶。  新しく明かされた事実はあるのだが、その裏に隠された

          この浜辺でキミを待つ。【8日目】

          この浜辺でキミを待つ。【7日目】

           町の片づけをしていたら、いつの間にか夜になっていた。  没頭しすぎていたらしい。シロは懐中電灯を手にして、すっかり綺麗になった大通りを見渡す。「これでよし、と」 「お陰サマで町はキレイになりマシタ。ご協力感謝しマス」  アクアは器用に頭部を下げる。電子的な声も心なしか嬉しそうだ。そんな様子を見ると、シロもまたココロの中が温かくなる。 「戻ろうか。すっかり遅くなっちゃったし」 「今日もホテルに行くのデスカ?」 「うん。ここからコテージは遠いし」 「アノ場所はお掃除のし甲斐が

          この浜辺でキミを待つ。【7日目】

          この浜辺でキミを待つ。【6日目】

           元のコテージに戻るのはひと手間ということで、シロはアクアとともに港のホテルに泊まった。  ホテルから出ると、今日も曇り空がシロを迎えた。 「ここが第二の家みたいになってるね」 「別荘というものデスネ」 「別荘! それ、いいね!」  シロは目を輝かせる。  そろそろ太陽が恋しくなっていたが、天候はどうにもならない。雲の切れ間から日光が差さないかと期待しながら空を見上げつつ、シロは港町へと戻った。  昨日、大通りや幾つかの店の中を片付けたので、探索はしやすくなっているはずだ。

          この浜辺でキミを待つ。【6日目】

          この浜辺でキミを待つ。【5日目】

           翌朝も、空はどんよりと曇っていた。  雨は止んでいたので、シロはホテルから飛び出した。 「誰もいなかったね」 「生命反応ゼロ、デスネ」  シロの言葉に、アクアもまた頷く。  ホテルには、あらゆるものが揃っていた。  頑張って探せば埃をかぶっていないベッドもあったし、柔らかさを失っていない毛布もあった。倉庫には保存食もあったし、懐中電灯もあった。シロはホテルにあった非常用持ち出し袋にそれらを詰め、その場を後にする。  ホテルの中には誰もいない。電気も通っていない。廃墟だった

          この浜辺でキミを待つ。【5日目】

          この浜辺でキミを待つ。【4日目】

           雨が通り過ぎた翌朝、海岸はいつもよりもキラキラと輝いているように見えた。  シロはヤシの木に朝の挨拶をしてから、アクアとともに海岸線を往く。  干潮の時間を見計らって崖下を超え、昨日残骸を避けた場所を通った。  木材や鉄パイプなどの残骸からは、雨水が滴っていた。積み上がった残骸の上から雫が落ちてくるので、シロの髪はすっかり濡れてしまった。 「うう……。雨じゃないのにびちょびちょ……」 「足元に気をツケテ」  アクアはクローラーで湿った砂利を踏みしめながら、昨日の注意を繰り返

          この浜辺でキミを待つ。【4日目】

          この浜辺でキミを待つ。【3日目】

           翌日、シロは港を目指すことにした。  アクアを引き連れて砂浜を往く。シロの足跡とアクアのクローラーが、水鳥の足跡だらけの砂浜に軌跡を残した。  シロはこの日も、人の姿を見かけなかった。  青い空と白い雲。そして、アクアが掃除してくれている美しい砂浜があるというのに。 「港まで五キロって言ったよね。それって遠いのかな。近いのかな」 「距離は遠くありマセン。しかし、隣の浜は瓦礫が多いのデス」 「へぇ~」  通行するのが難しく、アクアはその瓦礫を片付けるのに苦労しているという。

          この浜辺でキミを待つ。【3日目】

          この浜辺でキミを待つ。【2日目】

           シロが目覚めると、すっかり日が昇っていた。  カーテンのすき間から射す朝日は眩しい。  シロはベッドからのそのそと這い出て、寝室をのろのろと後にした。 「わぁ……!」  リビングのハイサッシ越しに、朝の海がシロを迎えた。  青い海と空。白い波が白い砂浜へと穏やかに打ち寄せる。ハイサッシで大きく切り取った海の姿は、絵画のように美しかった。  シロは朝食を終え、コテージを飛び出す。 「おはよう!」  シロの挨拶に、ヤシの木がそよぐ音が応える。  コテージの裏手には、ヤシの木が

          この浜辺でキミを待つ。【2日目】