YURIKO NAKAMURA

グラフィックデザイナ、活版印刷やさん https://analographic.net/

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    M68%キーホルダー

    素材:アクリル サイズ:50mm×56mm
    650円
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    TOMBOキーホルダー

    素材:アクリル サイズ:50mm×56mm
    650円
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    おくゆかシール

    サイズ:φ35mm
    300円
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“analographic”のわけ

機械オンチのデザイナー 機械が大の苦手だ。意志の疎通が図れなくて、一方的にへそを曲げられることも多々ある。だからと言って、パソコンにそっぽ向けることはできない。手作業でも仕事はできるかもしれないけれど、それにはおそろしく時間を要する。現代の商業デザイナーには悲しいかなパソコンが必須なのだ。 だから、わたしにとってAppleとAdobeはあくまで手段である。それらを使わないと成り立たないぎりぎりのところまでは、極力手を使う。そんなわけで、わたしは「アナログラフィックデザイナ

    • 活版日記:発狂の毛抜き印刷

      (活版印刷について知りたい方はこちらの特集を読んでね。) 今日は、毛抜き印刷の練習。 髪の毛ほどの細かい部分がある複数色を、正確に合わせる技術のことを「毛抜き(合わせ)印刷」っていうらしい。 完成図はこれ。 二色刷りがいまのわたしにはとんでもなく大変ってことはわかってるから、3時間くらいかけて、二色がぴったり合えばいいなあって思いながら開始! まずは一色目の組版。 事前に作っておいた樹脂版をチェイスに組んでいきます。 いざ!印刷! やったー!一刷り目はばっちりです

      • 活版印刷のすべて(わたし調べ) 第3話

        活版印刷のプロセス活版印刷の概要は第2話でわかってもらえたと思うのですが、では実際にはどんなことをするのか、第3話では活版印刷の手順を詳しく綴っていこうと思います。 活版印刷のプロセスは、印刷工程だけでも①文選 ②植字 ③組みつけ ④校正 ⑤印刷の5つがあり、それぞれが分業されていて、そのどれもが職人だからこそできる熟練技でした。 ①文選 「ウマ」と呼ばれる活字が大量に保管されている棚から、印刷する原稿に使用するものを拾っていく工程です。(想像するだけでかなり大変な作業

        • 活版印刷のすべて(わたし調べ) 第2話

          活版印刷ってなに?活版印刷とは、金属製の活字を組んで原稿を作り、その活字にインキを乗せて、圧力をかけて押し当てて印刷するアナログ的な手法です。 活版印刷は、印刷技術としては「凸版印刷(とっぱんいんさつ)」というジャンルの一種で、凸凹した図案の凸の部分にインキを乗せて印刷します。小学校の図工の授業でやった版画や、さつまいもを彫って作る芋判なども印刷原理としては一緒ですが、活版印刷は、ひとつひとつ独立した活字(文字)を組み合わせて一つの原稿を作るのが特徴です。活字が独立している

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        • analographicのこと
          6本
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          5本
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          活版印刷のすべて(わたし調べ) 第1話

          analographic的、活版印刷の魅力 とはいえ、わたしもまだまだ、活版印刷の知識や技術を勉強中の身です。この「活版印刷のすべて(わたし調べ)」は、わたしが調べた活版にまつわることを記録していく特集です。 わからないことばかりなのに、知りたいことが載っている本はあまりなく、ネットの海に解き放たれた情報は、曖昧なものも多々あります。(諸説あるものも多く、色々なやり方や答えがある世界なので、わたしの書いたことがすべてではないのですが)わたし自身のためにも、活版の先生に教わ

          活版印刷のすべて(わたし調べ) 第1話

          活版印刷がわかる本!5選

          この一年間、活版印刷を知りたくて、手当たり次第いろんな本を漁ってきました。その中から厳選した5冊をご紹介します。絶版や売り切れのものもありますが、どうにかして手に入れてください。(これは秘密の話ですが、全国の古本を探せる日本の古本屋は印刷、デザインの本も豊富でおすすめです。) 1.「VIVA!! カッパン」 大石薫 入門書でありながら、最も実用的な本でした。タイポグラフィの私塾なども開催している出版社、朗文堂さんから出ています。タイトルでお気づきかと思いますが、活版のこと

          活版印刷がわかる本!5選

          昨日、仕事を辞めた。

           2015年3月、仕事を辞めた。  大きな大きな組織に飼い慣らされてる、子犬みたいな会社だった。クライアントは、いろんな意味でとてもおそろしかった。大袈裟かもしれないけれど、わたしにとっては、まるで反撃のできない戦場だった。我がままにやりたいことしかやってこなかった自分にとって、理不尽なことや意味のないことがあまりに多すぎて、ぴったり一年しか続けられなかった。  ひとりで入稿すらまともにできなかった自分が、入社してすぐに大きな仕事を任された。かなり無理があったと思う。けれど

          昨日、仕事を辞めた。

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 その5

          非ノスタルジックなアナログとの付き合い方ここまで、アナログ的なものごとへの偏愛を綴ってきたけれど、それはアナログへのノスタルジーや、懐古主義ゆえに好きでいるわけではない。 当然わたしもデジタルやテクノロジーの恩恵を受けていて、この文章をのせているnoteもデジタルプラットフォームだ。手軽で便利なサービスはたくさんある。でも、すべてがデジタルで完結してしまう世の中は味気ない。 コーヒーをドリップしたり、レコードをひっくり返したり、フィルムカメラを現像しにカメラ屋さんに赴いた

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 その5

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 第4話

          思い出の残し方(カメラの話)わたしは、祖母の形見のフィルムカメラを使っている。わたしにとって、祖母と過ごした時間はとても重要で特別だったから、このフィルムカメラも、おなじく重要で特別だ。 遺品整理のとき、革のケースにおそらく祖母が書いたであろう彼女の名前を見たけれど、祖母からフィルムカメラの話なんて聞いたこともなかった。けれど、今の時代だれしもスマホで写真を撮るように、当時はそれがフィルムカメラだったのだろう。人はいつの時代も思い出を形に残したがる。 その日から、わたしは

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 第4話

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 第3話

          指先の感触、手を動かしてわかること なにごとも、手を動かすことでわかることがある。例えばわたしの仕事でいうと、デザインは手描きではじめる方が良い結果が生まれる気がする。紙に鉛筆で描くことによって、頭で考えたアイデアやコンセプトの段階ではわからなかったことが明らかになる。手描きという行為によって新しい発見をする。自分で考えたアイデアなのに、自分でも気づいていなかった未知のものが生まれてくる感覚が不思議だ。 あのスティーブ・ジョブズも、iPhoneを初めてリリースした時に最重

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 第3話

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 第2話

          「わざわざ」を愛する あらゆるデジタルテクノロジーは世界を速くする。コミュニケーションをなくして、すばやく何もかもを可能にする。スマホ一つあれば、離れている恋人の顔を見て話せるし、今日の晩御飯は家まで届けられる。 それはとっても簡単で便利だけれど、なんだかあっという間であっけない。わたしは、めんどうくさくて趣深いものを愛す。 ✉️ その1 手紙 ✉️ 遠く離れた友人と、もう長いこと文通をしている。便箋と封筒を決めたら、ペンを動かす。もう空でも言える相手の住所を書いて、

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 第2話

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 第1話

          能動的に触れるということ世の中にはたくさんの情報があって、わたしたちはその渦の中にいる。なんにもしないで生きていても、色々なことがわたしたちを振り回す。 何の気なしにのぞいたスマホからは、カスタマイズされた情報が日々流れてくる。画面は、自分にとって都合のよいもので埋め尽くされる。 でも、それって本当に心地よいのか。何も考えないようになってはいないか。 本当に大切なことは、自分の五感で確かめること。目に焼きついて離れない形、指先に伝わる手ざわり、体の奥で鳴り響く低音、口い

          五感をめぐる冒険、あるいはアナログの逆襲 第1話

          まっくろいねこ

          それは突然やってくる。 起きた瞬間または夢から醒めないうちから、前触れもなくドシッと頭に乗っかってくる。 それはとても重たく、図々しい。こちらの気持ちを考えず、頭上でもくもくおっきくなる。 重たい頭は動かない。全ての気力を私から奪う。しかしやつはゴロゴロ楽しそう。 こうなってしまったら今日はもう終いだ、寝るしかない。寝るにしてもやつが重い。 頭はまっくろで埋めつくされる。こんなちいさなやつにやられるんじゃあもう本当にお終いだ。 ふと気づくとやつはいない。まだ頭はぼうっとし

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          あの味をさがしてる

           毎週金曜日、ヤクルトのおばさんはやってくる。  夏休みをおばあちゃんの家で過ごしていたわたしは、おばあちゃんの家の前で、その時を今か今かと待つ。バイクの音がして、ヤクルトのおばさんがぶどうの木の下で停まる。 きた! おばさんが荷台の箱を開けてくれるや否や、わたしは箱に顔が入る勢いで覗き込み、お目当てのものを探す。チョコムースである。  おばあちゃんが会計してくれると、すぐに走って帰る。チョコムースは12個入り。ひとつ取り出して、残りは冷蔵庫にしまう。  まあるく平べ

          あの味をさがしてる

          人生最高パンケーキと高倉町珈琲

          最近のわたしは、高倉町珈琲のパンケーキの一口目を頬張る瞬間が、いちばん幸せだ。口に入れたと同時に、幸福な時間の始まりを知らせる鐘が鳴る。 好物を食べる時間は、誰にとっても至福だと思う。しかし、好きなものでも、最初の一口に勝るものはなく、そのあとは惰性で食べていることが多くはないか。胸に手を当てて考えてみてほしい。二郎のラーメン然り、ビュッフェのデザート然り、腹が満たされたら最後、あとに残るのは食べても食べても減らない食べ物と罪悪感、そして胃袋の具合悪さではないか。欲張りで食

          人生最高パンケーキと高倉町珈琲

          「さよなら、クウ」の物語

           好きな監督の映画ポスターをデザインさせてもらえることになった。本人との打ち合わせの前に、彼の代表作品を見返していると、約束の時間が迫っていた。急いで家を出て電車に飛び乗り、ドア横の空席に腰を下ろす。  ふと向かいの席に目をやると、白い毛束のかたまりのようなものが座席に乗っていた。ちょうど眼鏡ケースのような形で、角は丸みを帯びている。誰かの忘れ物なのだろうけれど、あれは一体なんだろう? ここから見える範囲で想像する。女子高生が落としていった、毛足の長いファー生地の化粧ポーチか

          「さよなら、クウ」の物語