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活版印刷がわかる本!5選
この一年間、活版印刷を知りたくて、手当たり次第いろんな本を漁ってきました。その中から厳選した5冊をご紹介します。絶版や売り切れのものもありますが、どうにかして手に入れてください。(これは秘密の話ですが、全国の古本を探せる日本の古本屋は印刷、デザインの本も豊富でおすすめです。)
1.「VIVA!! カッパン」 大石薫
入門書でありながら、最も実用的な本でした。タイポグラフィの私塾なども開催している出版社、朗文堂さんから出ています。タイトルでお気づきかと思いますが、活版のことをすべて「カッパン❤︎」と表記しているかなりの癖強本です。でも、活版のことが知りたければまずはこれを読むのがおすすめ。
2.「プリンティングカルチャー:今、甦える文字と印刷の歴史」 ミズノプリテック
印刷の歴史がわかる博物館、ミズノプリンティングミュージアムに収蔵されているコレクションの数々が、文章と共にまとめられています。わたしはこの本を読んですぐに、ミュージアムに駆け込みました。ミズノプリテック株式会社の会長が個人的に蒐集している歴史的印刷物を目の当たりにできる、かなりマニアックでおもしろい場所です。日本書紀やウィリアムモリスの原本まで、なんとすべて触ることができます。さらには、ひとつひとつ丁寧な解説つきです。一度は行くか読むかするべし!
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3.「活字が消えた日:コンピュータと印刷」中西秀彦
京都の老舗印刷所の代表が書かれた本です。活版から電算写植への移行という歴史的な転換をとにかく残しておきたいというのが執筆の動機だったそうな。活版印刷の栄枯盛衰が物語調に記されているだけではなく、親と子の活版廃止をめぐる葛藤や事業承継の話など、当時あらゆる印刷所で起きたであろう人間ドラマが描かれています。活字が消えた日のことを想うと、少し切ない気持ちになりました。
4.「デザインのひきだし 37」 グラフィック社編集部
デザイナーであれば言わずもがなの専門誌の、活版特集号です。(「デザインのひきだし 10」の活版特集から実に9年ぶり。)作品紹介やインタビュー、活版の基礎知識に加えて、どんな活版印刷ができるかわかる、「デザインのひきだし」名物の分厚い実物付録もついています。また、日本全国の活版印刷会社リストもあり、わたしはこれにだいぶ助けられました。確かな生きた情報が載っている、信頼度の高い雑誌です。
5.「デザインのアトリエ 活版印刷」 ギャビー・バザン
フランスのアーティストによる、最もやさしい活版印刷入門絵本です。手っ取り早く活版のことが知りたい大人におすすめ。かわいいイラストで、印刷工房を探検しているみたいな気分になります。やさしいけれどよくわかる、そんな一冊。
番外編 「アナログの逆襲:「ポストデジタル経済」へ、ビジネスや発想はこう変わる」 デイビッド・サックス
以前も参考文献として挙げましたが、そもそも、アナログの魅力ってなんだったけ?というところから、デジタルとアナログの共生、そしてデジタルの先にあるアナログについて書かれています。章ごとにいろんなアナログの逆襲を語っていて、「第2章 紙の逆襲」、「第5章 プリントの逆襲」は活版印刷に通じるところがあります。アナログを語る上ではどの逆襲も重要なので、一冊通して読むのがおすすめ。
「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)で書かれている、ジョバンニが活版所で働いている描写は有名ですが、当時の小説に活版印刷を見つけるとうれしくなってしまいます。また、あげたものはすべて、活版印刷が廃れてしまったあとに書かれた本なので、当時のいきた活版教則本みたいなものがあったらぜひ読んでみたいです。いい本に出会ったら、ぜひわたしにも教えてください。
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