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詩的散文

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私の書く文章に、主人公は必要ない
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コウモリ

コウモリ

夕方の6時、まだ夏を迎えていないこの時期は、すっかり薄暗い空へと模様替えをしてしまう。

なんとなく街からは活発さが抜け、家の電気と街灯が夕暮れと共存している。いっそのこと夜の方が安心できそうな、不気味な時間だ。

日が暮れる速度に、僕たちの目の明暗順応力は追いつけず、視覚を酔わされたような空気が漂う。

遠くを歩く人影が二重にも見える。歩む道は、夢の中の質感にも似た不確かさを兼ねている。

空を

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蒼翠の神殿



一つの意識が、蒼空の下で、大気中に放たれ霧散する、

それは、風の斥力で前進し、定まった路の上に、

偶然持ち合わせていた、二本の足を、器用に着地させる。

意識は、蒼の天蓋を司る、パルテノン神殿の、

無限の柱廊を、天の白い眼差しに睨まれて、

何処へともなく、連行される。

神殿を支える、植物じみたエンタシス(柱)は、

柱頭部が枝分かれし、緑の大きな装飾によって、

意識を、白日の下から

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性と恋

恋に汚れず、高級な性の探求に遣える男、

彼は、『人間』をひどく嫌っていて、本能的な性欲を愛する。

性を忘れ、恋の探求に惑わされた女、

彼女は、本能的な「雄(オス)」に飽き、人間に許された愛を求める。

二人の交わす言葉は、根底こそ違えど、互いを引き寄せ合う。

惹かれ合った偏屈者共が、合間見える瞬間、

初恋を想わせる、初心な緊張が迸る。

黒尽くめの彼は、多少横柄ながら、小心者の雰囲気だ。

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恋の追憶(- 腫瘍)

それは、禁煙中のタバコのように、

それは、ネット中毒者が持つスマホのように、

それは、心が弱った時に聴くロックのように、

僕の片足を拘束している。

あの人の、抱きかかえた猫のように柔らかい肌と、

春の日差しに晒された砂ほどの体温に、

もう一度、もう一度だけ、包まれたいと願う。

それが叶わないので僕は、不思議な色をした、

明らかに毒々しい綿(わた)の思い出に、身を任せてしまうのだ。

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2月18日

午前5時55分
いつものように目が覚め, まるで自意識の中にでもいるかのような暗さと静寂に包まれながら人間としての僕が動き出す.

休養の抜け殻から身体を引きずる事に成功した僕は
そのまま顔を洗い, 表情の上に溜まった眠りの残骸を洗い落とす.

それが終わると, 新鮮な空気を吸い込めるようにと, 寝てる間は物を噛むためではなく, 空気洗浄機用フィルターとして機能していた歯を磨いた.

夢を見る事に

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苦味

下世話な憂話に反吐は出るが

高貴な精神の持ち主には見向きもされず.

自らを蝕む病を内に潜めながらも

それを飼いならす術を知らない.

諸刃の剣を振りかざす勇気さえあれば

いっそのこと儚く散れるのに.

血の抜かれた世界

だんだんと、思い出せなくなってゆく世界がある

それは、夢と現実に、あまり境界線のない世界

その世界は、砂や朽木で全てが構成されていた

夏にも関わらず気温は2度もないくらいだ

おおよそ、生命と感じられるものは存在していなく、

全ては可視化した意識そのものだった

そこでは、一切の関わり合いが無に等しく、また無意味であった

血の抜かれた世界とは、意識であった

なぜなら、この世界は私という

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反省、あるいは治療

季節の変わり目が僕の心を砕き解す

ようやく固まった決意や、板についてきた心情を

春風とともに、いとも簡単に洗い流してゆく。

目的を攫われてしまった僕はまるで

安心して硬い地面を歩きながら、雪解けに目を奪われていると

知らぬ間に泥濘に嵌ってしまった放浪者のようだ。

泥のような倦怠から逸早く抜け出すには

それが乾くのを待つしかないようだ

必死に藻搔いた所で勝ち目はないのだから。

しか

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一頻り落ち込んだ空の表情は、ちょっと浮腫んでいる

その心情には、泣く事で感情を表現しきった後に見られる、ある種の爽快感がある

油絵具をベタベタと塗ったような天蓋を、生乾きの風が慰めると、

雨のせいで、身体の境界を有耶無耶にされた僕の感覚帯は、命を秘めた木々に似て陰鬱に揺れる

自分がまだ水中にいる事を知らない人たちは、地上にいる不幸を嘆いているみたい

濡れた岩肌に張り付く苔

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一瞬

春の息吹が地上を覆う

冬が、温かい眼差しによって命を奪われた

夏への予感を、期待させる

秋の麗しい思い出を忘れる事に成功した

澄んだ碧色の大気圏と

純度百度の新鮮さで満たされた空気

真空の中で、小鳥の声は僕を無視して通過していく

人間から見たら季節の変わり目のこの瞬間も

私達以外から見ればいつも通りの日常

この刹那を感じる事によってのみ、生命の存在を許される

夕闇と電光に浮かぶ桜雲

夕闇と電光に浮かぶ桜雲

いつもの日常から脱線して、僕は街に出かけた。

薄く淡い陽光が空気中に霧散して街を包む。

用無しの城と、快晴を写す池がある公園では、

雲ひとつない空色と、まだ美の途中にある、紅い桜色が対照的だった。

日暮れとともに、人々は公園へと集い始める。

桜から盗んできたピンク色で染まる池の水

空間に突如現れ、景色を投影するシャボン玉

屋台から立ち昇る炭の匂い

柳の葉が畏敬の念を不気味に漂わせる

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Schizo ; 精神分裂症

Schizo ; 精神分裂症

僕の中にどうしようもない衝動が在る

“僕”が何度も壊れかけた

何もかもが不快に感じる

父の無神経な嗤いが

母が筍を囓る音が

祖母の發する声が !

なぜ、「私」はここにいるのだ!!

あぁ、なんと可哀想な手なのでしょう。

その使い方を教えてもらえず、待機しているではないか!

何でもいい、私を世に出してくれ

団欒の箱にいる憎悪、閉塞感

呼吸が苦しくなる、視界が狂う、ノイ

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記憶 / 感情、そして思い出

記憶 / 感情、そして思い出

記憶 / 感情、思い出は同一視してはいけない

記憶(memory)とは、人間の脳が、五感によって経験した反応を蓄積した複雑なデータ集団のことである

記憶が点であるのに対し、思い出とは、線だ。

記憶には過去も未来も、また、その中間としての今も存在しない。あるのは刹那の瞬間だけである。

その記憶には本来、持続性は存在しない。

何故なら、記憶を思い出す度に、古びたり、濃密性が増したり、華々しく

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他人の人生に影響を与えるという事

 僕たちは、他人の人生に干渉したり、逆に影響を受けたりしながら生きている。

 たまに僕は、その事に対して罪悪感に苛まれるのだ。

もしかしたら、僕の言葉が相手の才能を殺すのではないか。

もしかしたら、僕の反応が相手の人生の選択を変えてしまうのではないか。

相手の人生に、僕が登場する世界線と、登場しない世界線。

どちらが幸か不幸かはわからない。けど、勝負を降りることは簡単だ。

堅い要塞を心

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