記憶 / 感情、そして思い出
記憶 / 感情、思い出は同一視してはいけない
記憶(memory)とは、人間の脳が、五感によって経験した反応を蓄積した複雑なデータ集団のことである
記憶が点であるのに対し、思い出とは、線だ。
記憶には過去も未来も、また、その中間としての今も存在しない。あるのは刹那の瞬間だけである。
その記憶には本来、持続性は存在しない。
何故なら、記憶を思い出す度に、古びたり、濃密性が増したり、華々しく美化されたりと、変化するため、絶対性が存在しないのだ。
それはあたかも、レコードディスクを再生すると、傷がついてしまう原理と同じである。
この時に起こる変化こそが「感情」の作用である
思い出とは、人為的に、感情的に、操作された記憶の集団のことなのだ
記憶と思い出は、次元が違う。
どちらが真偽、優劣、美醜かを求めてはいけない
ただし、人間にとって、感知することが可能なのは、思い出だけだ
なので、思い出だけが常に真である
人は、記憶を喪失することもあれば、感情も喪失することがある。
思い出が、思い出であるには、「記憶」と「感情」が必要なのだ。
記憶自体が、その絶対性と真実性を失う事はほとんどない。
むしろ、感情のエラーによって、思い出は改竄される。
感情が漂白した思い出ほど、陳腐なものはない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?