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コウモリ

夕方の6時、まだ夏を迎えていないこの時期は、すっかり薄暗い空へと模様替えをしてしまう。

なんとなく街からは活発さが抜け、家の電気と街灯が夕暮れと共存している。いっそのこと夜の方が安心できそうな、不気味な時間だ。

日が暮れる速度に、僕たちの目の明暗順応力は追いつけず、視覚を酔わされたような空気が漂う。

遠くを歩く人影が二重にも見える。歩む道は、夢の中の質感にも似た不確かさを兼ねている。

空を見上げると、オレンジと青紫だ。

たまに浮かんでいる雲が、白い布地に、その両方の色を吸い取った曖昧さとなって佇んでいる。

思いっきり空へボールをぶつけたら、ガラスのようにヒビが入り、夜の星空が現れそうだ。

そこへコウモリがやってきた。

彼らの羽ばたきは、蝶々のように華麗だが、鳥のように力強い。

触覚を失った蟻のように、不規則な不連続線を描いて空を舞う。

夜の化身であるコウモリが、幻想曲の旋律を空で奏でるので、いとも容易く現実を誤魔化され、幻覚か夢のどちらかに惑わされる。

その奥で、青白く光る月の目が、夜の部の指揮を振っていた。


#詩的散文


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