夕闇と電光に浮かぶ桜雲
いつもの日常から脱線して、僕は街に出かけた。
薄く淡い陽光が空気中に霧散して街を包む。
用無しの城と、快晴を写す池がある公園では、
雲ひとつない空色と、まだ美の途中にある、紅い桜色が対照的だった。
日暮れとともに、人々は公園へと集い始める。
桜から盗んできたピンク色で染まる池の水
空間に突如現れ、景色を投影するシャボン玉
屋台から立ち昇る炭の匂い
柳の葉が畏敬の念を不気味に漂わせる時間
オレンジの夕日と交代で、月と電光が輝きはじめる
夕闇と電光の空に浮かぶ、儚い表情の桜雲
人知れず、その美しさを披露している。
それなのに人々は、屋台を通り過ぎる人の顔色か
カメラのレンズを覗き込み、”美”の足元を通り過ぎて行く
日没とともに、影となった桜達を傍目に
人々の関心と期待はなおも活気づいている。
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