『ユースクリニック』。若者が集まり、会話しながら、身体や性の悩みを打ち明ける居場所。
こんにちは、翼祈(たすき)です。
この記事の本題は『ユースクリニック』なのですが、皆さんは聞いたことがありますか?
私もこの記事を書くまで知りませんでした。書きながら、一緒に勉強したいと思います。
10代から20代の若い人のために開設されている『ユースクリニック』は、スウェーデンなど北ヨーロッパで浸透しています。スウェーデンでは200ヵ所以上に開設されています。
大学1年生「『ユースクリニック』でピルやHPVワクチンに関して正確な知識を勉強できました。もっと性などの悩みを抱えている人に、『ユースクリニック』を教えたいです」
高校3年生「人間関係の悩みや体調にも『ユースクリニック』は励ましてくれます。自分の悩みを否定されず、心地良いと感じる居場所です」
子ども家庭庁から依頼を受けて、日本の『ユースクリニック』に関連する調査を行っている東京科学大学の寺内公一教授によりますと、
「町の保健室」「ユース相談室」とも呼ばれ、若い人が身体や性の悩みなどに関して、医師や看護師などに相談可能な『ユースクリニック』は、全国に少なく見積もっても約60ヵ所開設されています。
また、寺内教授などの調査では、この様な『ユースクリニック』は4つのタイプに分類されます。
ですが、自分の力だけのマネジメントに委ねられていることで、『ユースクリニック』で受けられるサポートは、どこも違う一面があると危惧します。
寺内教授は、
「一団体、一個人の自助のマネジメントに委ねるだけでなく、公的な介入、補助で『ユースクリニック』を整え、社会全体で悩んでいる若い人たちを支え合える様に構築する必要があります。『ユースクリニック』のほとんどが、やる気を持つ団体や個人の努力の賜物・創意のアイディアだけに依存し、ボランティアに近い形でマネジメントされています。
『若い人たちのために何か行動をしないと。マネジメントをしてみようか』という人たちの努力の賜物だけで、補い合っている世界でしょう。実際に『ユースクリニック』を開設したけれど、相談者の若い人が想定していた以上に深刻な問題を抱えていて、心理的、時間的にもマネジメントをする病院側などの負担が重くのしかかることで、マネジメント継続できず、廃業する事例も聞こえてきます。社会貢献やボランティアだけでは、相談したい人、聞く人、どちらも疲弊してしまう可能性が極めて高いです」
と説明しました。
今回は、神奈川県にある『ユースクリニック』を取り上げながら、どういうことをして、診療に来る人たちの心を解きほぐしているかなどを案内します。
神奈川県にある『ユースクリニック』の1つが、若い人からの悩み相談のためにやっていること
「正しい避妊のやり法を教えて欲しい」「生理が来て、体調不良」「お付き合いをしている彼氏が避妊しません」
神奈川県藤沢市にある『ユースクリニック』には、平日、中高生や20代の学生などが勢揃いし、色んな問題や悩みを医師や看護師などに相談しに訪れます。
この『ユースクリニック』では、診察を受けるために保険証を出す必要がなく、費用は無料か一律500円で受けられます。
医師の女性は産婦人科医として診察することと同時進行で、若い人からの身体や性の相談に寄り添います。
女性が『ユースクリニック』を開設したのは2019年でしたが、実は『ユースクリニック』を開設した当初は、訪れる若い人がほとんどいない状態でした。
女性は若い人が身体や性の相談をするために産婦人科へ受診に来て、医師や看護師と「1対1の診察することに対する壁が、きっと高すぎるのだろう」と考え、クリニックの待合室を『ユースクリニック』を開放する日を置きました。
このクリニックの『ユースクリニック』の名前は、【オープン・ユースクリニック】といいます。
毎月1回、土曜日の午後、中高生や20代の若い人たちが勢揃いして、気軽に会話しつつ、医師や看護師などに悩みを相談しています。
飲み物やお菓子を用意したり、性に関連する書籍も自由に閲覧できる様に本棚に陳列しています。
その上、ネイルアートやアクセサリーを製作することが無料で体験できるイベントもあります。
ネイルやアクセサリーの製作をしながら、初対面の若い人たち同士で恋愛相談や悩みを打ち明ける場合もあります。
またネイリストが若い人たちの爪先をキレイに整えて貰いながら、他愛ない会話も交わします。
通常の診察では、体調の変化以外はどうしても話し出せない若い人たちも、【オープン・ユースクリニック】ではくつろぎながら日々の悩みや楽しみを打ち明けていました。
この【オープン・ユースクリニック】では、無料でヘアアレンジも行います。
髪をキレイに仕上げて貰える心地良さを知って頂くことで、自分自身を大事にする感覚を養い、付き合っているパートナーからDVなどを受けた時に「何か、これ、おかしい」と気付ける様になって欲しいと、そう女性は意識しています。
【オープン・ユースクリニック】には低用量ピルや緊急避妊薬など、最新の避妊用具などが置かれているコーナーもあって、実際に手に取って触ることも可能です。
口コミでこのクリニックが開設した【オープン・ユースクリニック】の評判は浸透し、多い日には一度に40人程度の若い人たちが集まります。
参考:WEB特集|性や体で悩む若者たち 広がる「ユースクリニック」 NHK(2024年)
女性は、
「産婦人科を受診するのに壁が高いことから、【オープン・ユースクリニック】にネイルアートなどを楽しみにやって来た若い子たちが『自分以外にも同じ様な人たちがいるんだ。【オープン・ユースクリニック】なら何か失敗しても怒られない』と、相談にしやすくなると聞きました。
ピルや緊急避妊薬をここまで、頂きに来た人たちはみんなとても申し訳なさそうに、【オープン・ユースクリニック】を訪れます。『ちょっと避妊に、失敗して…』などと話してくれながら。私はその時に、『貴方は悪くはないですよ、よく【オープン・ユースクリニック】に訪れて来てくれましたね』と返します。
みんなでワイワイ会話が弾む中で、問題を発見することもあります。『彼氏が避妊してくれない』という相談に対して、『その関係性は本当に対等な立場なんだろうか?』を、共に考える時間も持ちます。恋愛や性のことをオープンに伝えていいんだという雰囲気づくりをすることもとても大事です」
と述べました。
こういうサポートは必要ですね
私が学生の時、この様な悩みは、人には言いたくない、隠しておきたい悩みだったと思います。
人と相談して心が軽くなるより、「恥ずかしいし、バレたくない」という想いが、強かったとも感じます。
相談を受けた人も寄り添って支え合うより、「どう対応していいのか…」と、全てにおいて手探りな状況でした。
私が学生ではなくなって、20年近く経ちますが、その時から考えると、人との距離が近くなった。それは良い意味というよりも、全く都道府県の違う、遠い場所に住んでいても、SNSという媒体を通して、繋がれる様になった。それが1番大きいと思います。
昔は違う都道府県の人とやり取りすることはかなり少なかったですし、そういう文化がなかった。
でも、今は居住地関係なく、波長や性格が合えば、SNSを通して、見知らぬ人とも簡単に繋がれる様になった。
それは自由でもあって、SNSで壁が取っ払われた分、大きな問題に至ることも増えた。
便利な世の中ですが、良い方にも悪い方にも影響を与えることになった。一人の人間の人生が、SNSで変わってしまう、そんなことが時々怖くなります。
私が大学1年生の時、家出して座っていた場所は、今、未成年の人、小学生などがたばこを吸ったり、酒を飲んだり、そういう場所に変わっていました。
この間そのことをテレビで観て、私もあの日が今だと、今の生活ではなかったんだなと思いました。
私が小さい頃からあったかは覚えていませんが、DVなどの問題が表面化しやすくなったのは、悪い方にも働くことのある、SNSの進歩だと感じます。
SNSを全部否定するわけではありませんが、私が学生の頃より、色んな問題が複雑化し、山積していることがとても気がかりです。
複雑化も色んな問題が混ざり合っているから。難しいですね。
『ユースクリニック』は、今複雑化している問題や悩みを抱えている若い人が多い中では、とても大切な居場所だと思います。
約60ヵ所以上あるそうですが、都市部に集中し、『ユースクリニック』がない都道府県もあるかもしれない…。
多くの若い人が身体や性に関する悩みを持つ時代だからこそ、すぐには運営ができないかもしれませんが、全国に1ヵ所はないとダメだなと、この記事を書いて、そう思いました。