<連載長編小説>黄金龍と星の伝説 ‐第一章/出会い‐ 第19話
コボルの町 -1
その後サムは、ルイとなかまたちとの生活をともにするうちに、こう考えはじめました。
『わたしの苦しみとは、王であったがためにかかえこんだ苦しみでもあったのだ。だから……どうだ、ここでは、ただの一介の老人にすぎない、のに――、
あー……、このいっしゅんいっしゅんのなんとすがすがしいこと。
なんと感動にあふれ、なんと刺激的なのだ!
もはやわたしは、国を追われた王などという重たい荷物はすてて、
わたしは……、
ただのひとりのにんげんになってこの町に生きよう