<連載長編小説>黄金龍と星の伝説 ‐第三章/銅鏡の秘密‐ 第62話
放火 -1
それは――、突然の出来事でした。
不夜城と化した街の中心部から火の手が上がり、国の繁栄の象徴ともいうべき建物が、あれよあれよというまに黒煙のなかに呑みこまれてゆきました。
この建物こそが〝マギラ〟の本拠地であり、当時、最上階の広間には大勢の人びとがつどい、祝いの宴がもよおされ、ゼムラは主催者としてその席に臨んでおりました。
建物の入り口付近で出火した炎はおりからの乾いた風にあおられながら、
煌びやかな祝いの花輪や飾りにつぎつぎに燃え広がると、
たち