自得其乐ーー「自分を喜ばす」延長線に、「誰かを喜ばす」がある
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【自得其乐】
ピンイン:zì dé qí lè
意味:自分なりに楽しむ、満足している。一人で楽しんでいる。
『「自分を喜ばす」延長線に、「誰かを喜ばす」がある』
「竹子さんの手料理、美味しい」
と、誰かに言われると、なんだか不思議な気持ちになる。
私は料理人ではない。
趣味として週末にお料理学校に通う人も多いが、特段そういった経験も無い。
ご飯を作るのは決まって退勤後。
疲れた身体を引きずって家に帰った時だけだ。
帰り道に近所のスーパーに寄って買った、3割引や半額シールが貼ってある食材。
すぐ食事にありつけるよう、工数を削りに削った、手抜きな料理手順。
100均で買った真っ白な皿に盛りつけ、水分摂取がてら白湯を一杯、気持ちに余裕があればスープもついでに作る。
作り始めて30分後にはいただきますだ。
食費節約の為に始めた自炊だが、健康管理の一環として塩分・油分がはっきりと分かる料理を摂取したい思いもあり、
外食はもちろん、お惣菜を買って食べる回数もかなり減った。
たとえ食パンにスライスチーズをのせてオーブンで数分焼いただけのトーストや、もやしとコンソメのみで作ったスープのような実に質素なものだけだとしても、
なるべく自分の手で食事を用意するようにしている。
「ありあわせの食材でささっと作れるのってすごい」とびっくりされたことがあるが、
それはスーパーで値引きされた食材を買い漁りつつ、なんとかこれら上手く組み合わせられないかと、節約のアイデアを考えているうちに想像力が育ったから。
「味付けは簡単だけど、それなりに美味くて箸が進む」と褒められたこともあるが、
それはシンプルでもそこそこ味が良くないと、私自身が味気無さに嫌気をさし、ついジャンクフードに手を伸ばしてしまうから。
「レシピのバリエーションが豊富」と言われても、
それも私自身が飽きてしまい結局外食やお惣菜に逃げないよう、あれこれ工夫をしてきたから。
全部全部、不健康な食事を摂りがちなわたくし、竹子に何とか健康なご飯を食べてもらえるよう模索しただけの結果なのである。
それがいつの間にか、自分以外の他人にも「美味しい」と言ってもらえるような料理力が身についたようだ。
ずっと自分の為だけにしてきたこと。
もはや暮らしの一環となっている料理は、私にとって当たり前のような存在であり、特段負担だとも思っていない。
誰かの為にご飯を作ることになっても、いつも作っている量を少々増やすだけ。
その程度のことでしかないのに、それだけで色んな人に喜んでもらえている。
もしかしたら、自分の生活で真剣に丁寧に取り組めた分、誰かの暮らしにもちょっとした彩りをプレゼント出来るのかもしれない。
お料理だけでなく、きっと掃除も洗濯もそうだ。
そして、凹みがちな日にするご機嫌取りも、頑張った日のご褒美選びも、毎日心に励ましの言葉をかけることも多分そうだ。
自分を喜ばす、その延長線に「誰かを喜ばす」があるのだろう。
私自身をまずしっかりと愛すること。
それは、私以外の誰かを愛する練習にもなっているようだ。
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