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読書日記

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2024年10月24日~ 不定期更新ですよ
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記事一覧

『ショートケーキ。』坂木司(文春文庫)

オーディブル。ショートケーキにまつわる五篇。一話目、二人の女の子がホールケーキを買う店の…

友直
1日前
6

『麦本三歩の好きなもの』住野よる(幻冬舎文庫)

オーディブルで、第二集とともに聞いた。天然系あざと女子(と言ってしまっていいものか。本人…

友直
3日前
3

『まるで渡り鳥のように』藤井太洋(東京創元社)

ハードSFというジャンルらしい。11篇入った短篇集。SFを読みつけていないものには、出てく…

友直
5日前
6

『修羅の家』我孫子武丸(講談社文庫)

深夜、公園で女をレイプ中、中年女に見つかり、警察に通報しないことと引き換えに女の家で暮ら…

友直
6日前
3

『日本蒙昧前史』磯﨑憲一郎(文春文庫)

グリコ森永事件、日本初の五つ子誕生、大阪万博、横井庄一さん。昭和40年代~50年代に実際に起…

友直
9日前
6

『海岸通り』坂崎かおる(文藝春秋)

オーディブルで。 老人ホーム内にある偽のバス停でいつも同じ時間にバスを待つおばあさんと、…

友直
13日前
5

『セルフィの死』本谷有希子(新潮社)

自意識と承認欲求から生まれた子どもだと自称する20代の女が、SNSのフォロワー獲得のため、精神的双子というソラという女とともに、おしゃれカフェ、無人回転寿司、浅草などに出向いて撮影をする。彼女より二割美形のソラは、ナチュラルに無邪気に世間に迷惑をかけるのだけど、彼女はねじくれた性格からこの世を呪い、内なる暴言を吐きまくり、かつ社会不適合者である自分を呪っている。自分のことをフォロワーを増やすことしか考えられない頭のおかしい女と自覚しながら、そうすることでしか世界とつながれない

『楽園の楽園』伊坂幸太郎(中央公論新社)

人工知能『天軸』が暴走を始め、大規模停電、ウイルスの蔓延、巨大地震など、世界が混乱に陥っ…

友直
2週間前
4

『いつか月夜』寺地はるな(角川春樹事務所)

オーディブルで。 亡くなった父に言われた「善く生きる」ということの意味を考えながら生きて…

友直
2週間前
5

『異常 アノマリー』エルヴェ・ル・テリエ(ハヤカワepi文庫)

面白かった。興奮した。素直にそう思う小説に出会ったのは久々だ。群像劇がもともと好きだとい…

友直
2週間前
10

『少女マクベス』降田天(双葉社)

とある演劇学校の定期公演の最中、他の生徒から神と崇められる天才脚本家兼演出家、設楽了が、…

友直
2週間前
2

『タッグ』小野寺史宜(角川文庫)

妻が亡くなったことで、小学生の子供たちを育てていかなければならなくなり、引退を決意した元…

友直
3週間前
3

『ダブルマザー』辻堂ゆめ(幻冬舎)

オーディブルで。 電車に飛び込んで死んだ娘の葬儀後、バッグの中から別の人の財布と携帯が見…

友直
3週間前
5

『レジデンス』小野寺史宜(角川文庫)

『タクジョ』とか『ひと』とか、誠実に生きる市井の人を書く作家という印象の作家さんですが、この作品は不穏な空気に満ちている。デビュー前、野生時代新人賞の最終候補に残ったものの、受賞はしなかった作品の改稿らしい。暴力にセックス。人が溜め込んだ鬱憤がこれでもかというぐらい吐き出されて、どっと心が重くなる。場所は東京湾を埋め立ててつくられた人工の街。高くそびえるマンションが林立し、一方、画一的な戸建てのゾーンもある。居酒屋、パチンコなど、子供に悪影響を及ぼすものは排除され、スーパー、