『セルフィの死』本谷有希子(新潮社)
自意識と承認欲求から生まれた子どもだと自称する20代の女が、SNSのフォロワー獲得のため、精神的双子というソラという女とともに、おしゃれカフェ、無人回転寿司、浅草などに出向いて撮影をする。彼女より二割美形のソラは、ナチュラルに無邪気に世間に迷惑をかけるのだけど、彼女はねじくれた性格からこの世を呪い、内なる暴言を吐きまくり、かつ社会不適合者である自分を呪っている。自分のことをフォロワーを増やすことしか考えられない頭のおかしい女と自覚しながら、そうすることでしか世界とつながれない