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『少女マクベス』降田天(双葉社)
とある演劇学校の定期公演の最中、他の生徒から神と崇められる天才脚本家兼演出家、設楽了が、舞台裏の奈落に落ち、死亡した。事故として片付けられたが、翌年入学してきた了の友人が、「死の真相を暴く」と宣言。了と同学年で、了に対しライバル心や絶対に敵わないという諦めなど、複雑な思いを抱いていた同じく脚本家を目指す少女が、その調査に巻き込まれる。関係者に聞き込みをすることで、了の、演劇にかけるあまりパワハラ気味の性質や、いい作品をつくるためには盗聴も厭わないといった姿勢が、明らかになる。とともに、容疑者となった三人の少女が隠していた事実も暴かれる。それぞれ、了という才能に憧れ、嫉妬している。翌年、定演の脚本コンペに、亡くなった了の作品が提出されたことで、徐々に真相が見えてくる。犯人の背負っていたものは、そして了の背負っていたものは、なんだったのか。
マクベスの台詞などが出てきたので、マクベスを知っていたほうが、面白く読めたと思う。オーディブルで聞いていると、どうでもいいことだが、了という名前が寮に被って、一瞬 ? となった。前から思ってたけど、耳で聞くと漢字が浮かばないので、やっぱり理解しづらいのよね。
才能というものに焦がれ、打ち砕かれ、それでも何かを掴もうとしている少女たちの話だった。才能がなくても、人生は続く。