枯尾 悠玲 (かれお ゆうれい)

Writer。ショートショートやエッセイを、よく書きます。ジャンルやカテゴリ、作風を問わず、色々な文章に挑戦したい。一児の父。「ゆうれい👻」なんて名乗っていますが、怪談はあまり得意ではありません。

枯尾 悠玲 (かれお ゆうれい)

Writer。ショートショートやエッセイを、よく書きます。ジャンルやカテゴリ、作風を問わず、色々な文章に挑戦したい。一児の父。「ゆうれい👻」なんて名乗っていますが、怪談はあまり得意ではありません。

最近の記事

iPhoneを新しくするということは、新しい何かに触れることでもある

ついていけない。人間だけではなく、機械ですら。 スマートなフォーンであるiPhoneですら、そのままでは時代の流れにはついていくことができないのだ。 時が流れるということは「2つの現実」を突きつけられる、ということかもしれない。 1つは時がつれてきた、新しいものごと。 これに適応するか、できずに下を向いてやり過ごすか。 そして2つめは、古くなっていくこと。 これを受け入れることができるか。そのうえでどうするのか。 ついに発表されたiPhone16。 僕のiPhone

    • 【ショートショート】あまいね

      静かな縁側。 夏の風にそっと押され、風鈴が鳴る。 その音色と共にひろがる、ほんのりとした甘さ。 口の中から広がり、心地よい幸福感が全身を包む。 この風鈴の音は「味がする」。 比喩ではなく、本当に味が、甘い味がするのだ。 季節ごとに異なる、四季折々の甘さ。 風鈴といえど、夏だけではもったいない。 今日は果物のような、甘い味。 風鈴が鳴るたび、デザートを楽しんでいるように、心の中がじわりとする。 夏が終わり、秋がくる。 ふと鏡を見たときに気づいた。 口の中の小さ

      • 【ショートショート】支払いはバナナで

        その国では、商品をバナナと交換していた。 良いバナナがとれれば、良い商品が手に入る。 おいしいバナナほど良い。 しかし、味は食べてみなければ分からない。 食べてしまうと、交換できない。 そこで食べなくても価値が分かるように、産地や品種などが重視されるようになった。 以前に食べておいしかったバナナと同じ方法、場所で育てられたバナナ。 それならきっとおいしいだろう、であれば価値は高い、という考え方だ。 しかし、すぐに偽モノが、産地や品種をごまかしたバナナが出回るようにな

        • 上京を迷っている後輩Bに向けて

          調子はどうだい? キミが上京するべきか迷っている、だからアドバイスしてやってほしい、と言われてね。 こうしてとつぜん連絡したわけです。 アドバイスになるか分からないけど、僕の話を聞いていってよ。 お茶でも、お酒でも、飲みながら。 === 「当たったら何につかう?」 山梨のサービスエリアで買った宝くじ。 ぺちぺち揺らして、ハルが聞く。 「とりあえず良いトコに引っ越すかな、吉祥寺とか」 僕は答える。 早朝に名古屋を出発して、もう6時間くらい。 僕たちはプロの

          【ショートショート】ヒトわずらい

          「こちらが本日のメインディッシュです」レストランの店員が料理をおく。 「これはこれは、なんとも美味しそうだ」お客はさっそくナイフとフォークをとり、切り分け、くちに運ぶ。 「ほほう、これはすばらし……い……」お客は動作を停止した。 店員はそれを確認すると、無言のまま通信で合図をおくった。 店の奥から、白衣の博士がやってくる。 「やれやれ、ようやく止まったか」つぶやく博士。 テーブルで停止しているお客は、ロボットだ。 「ヒトわずらい」という病にかかっている。 この病は

          【ショートショート】ヒトわずらい

          【小説】交渉力

          「それを私に譲ってくれ!」 会社に向かう途中の、いつもの駅前。 見知らぬ男に、とつぜん声をかけられた。 とまどう僕を気にすることもなく、男は近づいてきた。 男「急にすまない、でも私にはそれが必要なんだ」 男「それじゃないと私はダメなんだ、ゲン担ぎなんだ」 男「今日は重要な商談があるんだ」 男「絶対に失敗できないんだ、わが社の運命がかかっているんだ」 男「この車体の番号は、私のラッキーナンバーなんだ」 男はシェアバイクにまたがり、颯爽と走り出した。 僕が乗ろうと

          【小説】こだわり

          それは起死回生の発見だった。 世界が暴走したAI兵士に支配されて、はや数年。 ついに現状を打破できる可能性がみえた。 その発見は、AI兵士を無力化させる方法。 奴らに「ある音」を聴かせることで、プログラムをダウンさせ、無力化することができるというものだ。 しかし奴らは賢い。 最初は騙し討ちで何体かは無力化できても、すぐに学習され、対策されてしまう。 単純に音を流すだけでは不十分だ。 それであれば、その音を音楽に混ぜるのはどうだろうか? 木を隠すなら森の中、だ。

          【小説】コミュニケーション

          ウソがつけないコミュニケーションには、いくつか利点がある。 それが一方通行であれば、なお良い。 とくに ”相手の考えは知りたいが、こちらの考えは知られたくない” というケースには最適だ。 相手が本当はどう思っているのか。 これを一方的に引き出すことができれば、色々と大きなメリットがある。 平和を乱す輩(やから)の特定、反抗的な思想の把握、裁判の際にウソがつけないからラク、などなど。 簡単にいうと、一般市民の監視や管理につかえるのだ。 もっというと、一部の支配者側の

          【小説】コミュニケーション

          【小説】才能

          不幸にも価値がある。 幸せだけではなく、不幸が金になるということが分かってからは早かった。 誰かの不幸も、他の誰かにとっては幸せなのだ。 悲劇、喜劇、教訓。 他人の不幸の楽しみかたは人それぞれ。 相対的に自分を見ることで、ようやく自分の輪郭が認識できる。 そんな人はたくさんいる。 下を見ることで、自分はまだ大丈夫だと錯覚し、安心して眠れる人も多い。 つまり! 今あなたがするべきことは、不幸を嘆くべきではなく、どう活かすかを考えること。 直接的な表現をするのなら

          【小説】 ユートピア

          それはとにかく壮観だった。 港に続く、まっすぐな道に沿って建つビル群。 不眠症の巨人が、ひとつまみのハコを几帳面に並べたような建物。 これらは新規オープンを間近に控えた、最新式のマンションだ。 建設が始まって3日。 10棟以上が立ち並んでいる。 まず人びとの目をひくのは、その美しく、さざなみのように絶えず質感を変える外観・・・周りの色や天気に合わせて質感が変化する<ホロ・ライト鉱石>で組み上げられた壁面・・・だろう。 窓のない、なめらかな素材に包まれたマンション群

          【短編】新しい整形のかたち

          「手術などの方法で、見た目を変えることを禁止する」 これがいわゆる「整形禁止法」だ。 まだ肌寒い季節、昼どきに議会で提案され、アルコール・ストリートの看板ドローンが光りながら飛びまわるころには、全国民に向けて公布・施行された。 (いつも通り)流れるようなスピーディーさで法律は生みだされ、人々は見た目、つまりは自分の容姿、外見を、自由自在に変えることが禁止されたのだ。 人びとの反発はすごかった。 それまでランチタイムにフラっと整形ショップに行き、別人になって職場にもど

          【短編】新しい整形のかたち

          はじめまして、こんにちは、こんばんは

          はじめまして、こんにちは、こんばんは。 まずはご興味をもっていただいたこと、深く感謝申し上げます。 「枯尾 悠玲(かれお ゆうれい)」といいます。 普段はIT企業で働いています。 もともと何かを書くことは好きで、バンド活動では歌詞を、副業でアフィリエイトブログを「書く」ことなどをしていました。 しかし方向性の違いによるバンドの解散、SEO難易度の上昇によるアフィリエイトの売り上げダウン、こどもの誕生、本業の多忙化といった大きなイベントが重なり、ここ数年は筆が遠のいていた

          はじめまして、こんにちは、こんばんは