【小説】こだわり

それは起死回生の発見だった。

世界が暴走したAI兵士に支配されて、はや数年。
ついに現状を打破できる可能性がみえた。

その発見は、AI兵士を無力化させる方法。

奴らに「ある音」を聴かせることで、プログラムをダウンさせ、無力化することができるというものだ。

しかし奴らは賢い。
最初は騙し討ちで何体かは無力化できても、すぐに学習され、対策されてしまう。

単純に音を流すだけでは不十分だ。

それであれば、その音を音楽に混ぜるのはどうだろうか?
木を隠すなら森の中、だ。

この方法を見つけた科学者たちは、おおいに喜んだ。
長い絶望の中に、ついに光がみえたのだ。

「良いですね、そうしましょう!」
「どうせなら最高の音楽にしましょう!」
「やつらの最後を彩るにふさわしい曲を!」
「歌詞はわたしに書かせてください!」

もちろん音楽については専門外だが、問題ない。
すべてはテクノロジーが解決するのだ。

ボックス型の機器に、「最高のレクイエムを作って , 100パターン」と打ち込み、音を聴かせた。

指示文を読み取り、音を聴いた音楽生成AIは動作を停止した。

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